光明の生活を伝えつなごう

関東支部だより

関東支部 平成19年7月

東京光明会5月例会

植西 武子

5月11日(金) 13時~16時、一行院で。導師は八木季生上人、参加者15名。

好天に恵まれ、木々の緑の濃淡が5月の空に美しく映えていました。一行院の庭も緑一色に染まり、爽やかな風が流れていました。その風に乗って響く木魚の音に誘われて本堂へと急ぎました。お念仏の後、聖歌「おほせのつとめ」を歌いました。この歌は平素あまり歌う機会がないのであまり声量が出ませんでした。続いて法話となりました。

ご法話

ご法話は「弁栄上人の片影」シリーズのNO.78からNO.87まででした。

弁栄さんは念仏が好き(NO.78)

松戸町から五香へ行商する一老人が時々弁栄聖者の墓前に額づいて合掌念仏する姿を見かけるので、ある日その訳を尋ねると、その老人答えて曰く、「弁栄さんはワシの昔友達で、念仏が好きだったので通る度に念仏してあげるのです。」

「お上人様でしたか!」(NO.79)

五香近辺にさる侠客がいて、ある日、泥酔酩酊して路上をふらつきつつ大放尿を始めた。ふと頭を上げると、何と弁栄上人が近づいて来られるではないか。狼狽しつつも致し方なく、片手で合掌して「ああ、お上人様でしたか」と言いつつそのまま放尿しつづけ、声高らかに「なむあみだぶつ、なむあみだぶつ」と称えたと言う。後日、上人は「よく世間では念仏したいし、信仰も結構だと思うが日々の活計(実は死計)に忙しくその暇がない」と言う人もいるが、その心があれば放尿しつつも念仏できるではないか。忙しい中からも結構遊び事には時間を作り出しているではないか。念仏しようという真実心がなければ何年経ってもそんな暇はありはしない・・・と話されたそうである。
※著者の山崎弁誠上人は「この二つのエピソードは無学、木訥な田舎人の脳裏にも上人と念仏の連想が如何に深く印象づけられていたか、またそのご化益が如何に偉大であるかを物語っている。」と註釈されている。

「エイエイ地獄はありますとも」(NO.80)

ある日上人が仏画を描いておられる時、某氏が来て「上人、地獄極楽はありますか」と尋ねた。上人は暫く筆を運んだ後、顔を上げておもむろに「エイエイありますとも」
※八木上人はこれについて追加説明されました。経典に極楽は十万億土の彼方にあると説かれているが、地理的に地獄、極楽は存在するはずがなく、弁栄上人の言葉である「去此不遠」、即ち「此処を去ること遠からず(心の中で)」と捉えた方がよい。また、これに関連して、「お盆」と「施餓鬼」についてお話下さいました。

「お盆」は7月15日(陰暦)。サンスクリット語の「ウランパーナ」を盂蘭盆と翻訳した(意味は倒懸=逆さにつるす)。神通力を身につけた目蓮尊者は亡くなった母が今どうしているかと見ると、大変な状況にあった。そこでご飯と水を供養した。しかし、母がそれを食べようとするとそれらは火と化した。これをまさに人間を逆さまに吊した(倒懸)ような苦しみであった。母を救わんがために修業した。その最終日が7月15日であった。また、反省会の後、喜んだ目蓮は踊った。これが「盆おどり」の起源とされている。

「施餓鬼」は時期が定まっていない。阿難がある日、お釈迦様の話を思い出していると焔口餓鬼が現れて、「あなたの命はあと3日しかない。それから逃れるには我々に施しをしてくれ。そうすればあなたの命は長らえるだろう。と言った。お釈迦様は阿難に餓鬼供養をする方法を教えた。それを実践した阿難は長く生きることができた。これが施餓鬼の起源である。

八木上人は緑・黄・赤・白・黒の五色の幟を四隅に架けてお盆の施餓鬼をする所以を詳しくお話下さいました。そして最後に地獄、極楽は人間の心が作り出すもの、仏陀の境地になった心が作り出すものが極楽であると結ばれました。

医王寺にて謎魂得説(NO.83)
明治43年3月、郷里の鷲野谷の医王寺で五重相伝があり、上人は伝灯師としてご逗留の時、夜な夜な庫裡の内仏前で一人お念仏をされていた。みんなは密かにこのことをいぶかっていた。4日後の夜に上人は一人の老婆を呼んで「この寺で若き婦人が悶死されたことがあるか」と尋ねられた。老婆は「ハイ。この寺の先々住職の奥さんが難病で苦しんで亡くなられました」と答えたという。上人は「そうですか。毎晩私の前に現れて助けを求めていましたが、もう浮かばれたことでしょう」と静かに念仏を続けられた。
祈祷の功徳(NO.85)
弁栄上人はある火、祈祷の功徳について話された。元来宗教は病気を平癒したり、宇宙の妙用を感応させるべきものである。他の手段である薬物による療養も本は法身如来の恵みによるものである。宇宙空間には万物を生成する霊力があたかも電力が偏通しているように充満している。しかし、それを知っていて取らなければ得ることはできない。それにも拘わらず、浄土教が現世祈祷を好まないのはそれが功徳が無いからではなく、その大益を逸することが多いからである。その功徳はあるけれども概して人々は近益に没頭して遂に大益を逃してしまうからである。もし、誠の心で何々の益を願えば所願は叶えられる。

※八木上人は平易に説明して下さいました。祈祷はそれをする人によって結果が違う。また、阿弥陀様にお願いする時はこれを回向という。自力教と他力教で祈祷に対する考えがやや異なる。他力教がこれを嫌うのは祈祷、回向の利益は認めつつも大益(例えば極楽往生)を忘れがちになるからである。

「稲」と「藁」との関係と同様である。稲を育てようと努めれば結果的に藁は育つ。正しい目的達成に必要なものは自ずとついてくる。まさに「道心の中に衣食あり、衣食の中に道心なし(最澄)」である。

茶話会

東京光明会の例会は土曜日となっていましたが、今月からウイークデーに変わりました。そのためで二、三の方はお勤めの関係で来られず、参加者がやや少なくなりました。茶菓を頂きながらそのことについて何時がよいかと話し合いましたが、曜日を決めるについては個々の都合がいろいろとあり、仲々すんなりとは決まりません。会場である一行院様は多分土・日曜日はお寺関係で忙しく、ご迷惑がかかっていることと思います。年配者はウイークデーの方が都合が良いという意見もある一方、若い方の参加を考えると譲るべきとも思いました。元通りの土曜日になりそうですが、とりあえず6月の予定として22日(金)を確認して散会しました。

光明園5月例会

植西 武子

◇日時 5月13日(日)10時~15時
◇場所 光明園
◇内容 念仏と法話の会
◇導師 河波定昌上人
◇参加者 26名

時には定刻通しに参加しようと頑張って家を出ましたが、途中で電車が止まったり、池袋で買い物をしたりで結局11時過ぎとなってしまいました。急いで2階に上がりますと、お念仏の最中でした。いつもよりやや参加者が少なく、こじんまりとした感じでした。大型連休の後でそれぞれにご都合があったのかと推測しました。

昼食時にいつもご子息と参加される河村氏を中心にお話が弾むのですが、今月はお姿がなく、淋しく感じました。昼食が終わるころ徐々に参加者が増えてきました。1時からお念仏が始まり、聖歌「七党支」を歌い法話となりました。

ご法話

※今月のご法話は「光明主義・その伝統と創造」というテーマでした。これは昨年10月の「関東支部教学布教研修会」に同じテーマで一度お話頂いていますが、今回はその復習と別の視点もお加えてお話下さいました。理解力の乏しい身にとっては繰り返しお話が聴けることはとてもありがたいことです。

これは非常に大きなテーマのお話で、内容的にも広く深いお話ですので、河波上人が後日まとめて「ひかり」誌上にお書き下さいます。そのため、自分の印象に残ったごく一部とその感想のみを記します。
※河波上人はお話の冒頭に、数学者の岡潔先生のカボチャの生育に関する表現を引用されました。「カボチャはさっと伸びて、止まり、またさっと伸びる。このさっと伸びるが創意であり、止まる部分が伝統である」と・・・。
そして光明主義の伝統というよりは浄土宗、さらに大きく大乗仏教の伝統とも言える視点からお話を展開されました。

インド文化を背景とする釈迦の教え、洗濯本願を説く法然上人の教え、光明主義を説く弁栄聖者の教え、その時代的、文化的背景は異なるが、その根底に流れる根源的なものは同一である。釈尊自身も諸仏(過去七仏等)の伝統の中で新しい仏教を生み出し、法然上人は100%釈尊に従い、弁栄聖者は100%法然上人に従いつつも100%の創造をされた。

特に幕末から大正にかけて時代は大きく動き、自然科学、哲学、キリスト教等が流入すると、あらゆる面で思想的に大きな影響を受けた。仏教も伝統を大切にしながらその新しい思想の影響を受けて発展した。

弁栄聖者は自然科学、哲学、キリスト教の三つの側面から伝統的な仏教に新しい側面を創造された。それは礼拝儀の中に随所に見られるキリスト教的な表現や「超在一神的汎神論」は「神は自然の中に宿る」と言って汎神論を説いたスピノザとは無縁でなく、「神は包含である」と説いたニコラウス・クザーヌスの思想は弁栄聖者「仏身論」と重なる等の事柄に伺い知ることができる。
また、弁栄聖者は本願を光明と表現され、名号の中に全てが包含される(体系的思考)と説かれた。
※河波上人は多くの例を示しながら、西洋哲学やキリスト教を含む広い視野から、弁栄聖者の光明主義をお話下さいました。広い学識と深い思考に裏付けられたお話に深く感じ入りながら拝聴しました。お話の中で示される多くの例からもその博識の一端に触れた思いでした。

弁栄聖者のみ教えが伝統仏教の神髄を継承しつつ、現代社会に生きる我々が納得できる新しい展開を示されたその業績の偉大さに改めて頭が下がる思いでした。毎月一度このような内容の深いお話を拝聴できることをとてもありがたく思います。余計なことながら、将来このようにお話を展開下さる後継者がおられるのかとついつい心配してしまいました。貴重な河波上人のお話のその奥底にまでに理解が及ばず、表面的な捉え方しかできない浅学非才の身を恥じつつご法話のごく一部と感想を記しました。

茶話会

今月は3時から関東支部総会があるため、会は少し早めに終わりました。後片付けと並行して支部総会が始まりましたので、そちら方に参加しましたが、役員でない方々はゆっくりと歓談されておりました。隣室で会議をしていましたが時々楽しそうな話し声が聞こえてきました。

関東支部総会

◇日時 5月13日(日)15時~16時30分
◇場所 光明園2階和室
◇出席者9名

議題

  1. 本部報告と18年度事業報告
  2. 18年度会計報告
  3. 19年度事業計画(案)の審議
  4. 19年度予算(案)の審議
  5. その他 関東支部役員の改選と本部役員の確認、弁栄聖者90回忌事業資金勧募について、布鎌教会(千葉県)の建物保存について。

毎年のことながら、関東支部は約40名の会員がいるが、北海道、青森、秋田、福島など遠方の方が多く総会といえども委任状が大半で参加者は東京近辺在住者に限られている。1時間30分の限られた時間で上記案件を審議した。

[主な事業]
◇親子別時(中部支部と共催) 19年8月3日(金)~4日(土) 光明学園で、講師八木季生上人。
◇地域別教学研修会 10月27日(土)28日(日) 一行院で。 講師は河波上人、八木上人ほか。
◇易しい仏教勉強会(実施済み) 4月22日、テーマ「現代と光明主義」河波上人。
[支部役員の改選]
任期は2年で本年はその改選の年にあたる。 支部長:田代直秀氏 新役員として高橋清美氏、佐々木有一氏。
[その他]
◇千葉県在住の赤萩孝明氏より、弁栄聖者ゆかりの布鎌教会の建物の保存(屋根のふき替え)について依頼があった。
◇資金勧募については時間がなく、後日その件のみで役員会を持つことを確認した。
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