山本 サチ子 新河岸川の土手を歩いていると、梅の木のてっぺんにメジロを一羽見つけた。せわしなく枝を渡り歩いている。 隣の木には蝋梅が咲いていて、モズが一羽留まっていた。愛くるしい目をした二羽の小鳥たちは蜜をついばんで…
(続きを読む)山本 サチ子 新河岸川の土手を歩いていると、梅の木のてっぺんにメジロを一羽見つけた。せわしなく枝を渡り歩いている。 隣の木には蝋梅が咲いていて、モズが一羽留まっていた。愛くるしい目をした二羽の小鳥たちは蜜をついばんで…
(続きを読む)山本 サチ子 小説家、藤沢周平の作品に出会ったのは三十代半ばの頃だった。光明園園主の河波昌先生の奥様から勧められたのです。奥様のご両親は山形県出身であり藤沢周平が両親と同じ山形県出身である理由からでした。この頃、私は子…
(続きを読む)鎌尾 光栄 数年前、神奈川県の大山詣りをした折、下山途中に岩の階段で転倒して足首を骨折してしまいました。人生初の手術と松葉杖生活で、日々の暮らしも儘ならなくなり、多くの人に支えられていることを実感しながらも、心が塞がる…
(続きを読む)山本 サチ子 漸く冬らしい季節の到来です。ここ埼玉ではあまり秋景色が感じられなく、今年の紅葉は諦めていました。けれども先月、京都で清水寺を訪れた際にその思いは覆されました。清水寺から眺める京都の街並みと周囲の秋景色は言…
(続きを読む)山本 サチ子 これまでに経験した事が無いほどの暑い夏が収まり、短い秋も束の間の気候で締めくくられた。過去から考えられない気候変動が世界各地で起こり、また世間では恐ろしい事件が発生している。それに追い打ちをかけ物価高が起…
(続きを読む)石川 ゆき絵 ブラジルの常夏の地にご縁をいただき暮らしている。常夏とはいえゆるやかな四季があり、12月は真夏で、日本とは反対に7、8月は肌寒い日もあり雨季となる。今年の雨季は特に雨が多く、その恩恵にてわが家の前の湖はよ…
(続きを読む)石川 ゆき絵 音楽が好きで高校生の時からバンドを組んで歌っていた。最初に組んだバンドは「ガガーリン」と名づけた。「地球は青かった」と言った世界初の宇宙飛行士の名前だ。 二〇二四年春。桜の咲く頃、故郷福岡に急遽一時帰国…
(続きを読む)山本 サチ子 冬の寒さが抜けきらない。桜の開花が近いとニュースになったものの、関東では雪が降ったり、厳しい寒さがなかなか遠退かない。春の訪れを待ち遠しい気持ちでいると庭からそっと囁く声がした。「めじろが、清美オレンジを…
(続きを読む)山本 サチ子 冬の寒さが春一番の風と共に遠のいて行った。寒さは、身も心も引き締めて人を鍛え上げる良さを備えている。ここ数日は南風が吹き温かく、過ごしやすい気候が続いている。二月にしては暖かすぎるが、ようやく春の訪れを感…
(続きを読む)山本 サチ子 ひかり誌に連載されている2024年1月号の「熊野好月」尼著『さえられぬ光に遇いて』の「聖者のみ手に惹かれて」を読んだ。 そこに、次のような弁栄上人と好月尼との対話が記されている。 私〔=好月尼〕が当初…
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