光明の生活を伝えつなごう

光明主義と今を生きる女性

光明主義と今を生きる女性 互いに助け合って

鎌尾 光栄

 数年前、神奈川県の大山詣りをした折、下山途中に岩の階段で転倒して足首を骨折してしまいました。人生初の手術と松葉杖生活で、日々の暮らしも儘ならなくなり、多くの人に支えられていることを実感しながらも、心が塞がる思いでした。
 そんな時、NHKスペシャル「超進化論第1集植物」を拝見する機会を得て、深い感銘を受けました。それは弁栄聖者の教えと重なると感じたからです。思わず、まだ体重をかけてはいけないといわれていた足で立ち上がってしまいました。
 植物はものいわぬ静かな生き物だと思われていますが、実は植物はお喋りをしているのだそうです。花粉を運んでもらうために物質を放出して虫を呼んだり、虫に葉を食べられている音や唾液の成分に反応して、その危険を他の植物に知らせる信号を送り、匂いさえも嗅ぎ分けるセンサーを持つ、コミニュケーションする生き物なのだそうです。医学博士であり解剖学者の養老孟司氏も、「満員電車が匂うのはそばに寄るなという忌避物質を出しているからです。パヒューマーという職業的に匂いを嗅ぎ分ける人が赤ちゃんを連れて田舎に帰った時、寝ている赤ん坊のすぐそばをでっかいムカデが歩いていた、そしたら、その瞬間にパッと自分の体臭が臭ったそうです。」と記しています。人間もそうなのですから植物たちが交信していも不思議ではありません。
 また、雨の日、雨粒が葉に当たると、その圧力を敏感に感じ取り、雨粒に含まれたカビや病原体から、身を守るための抗菌物質を作る働きをも備えているといいます。
 さらに地下では、根に菌糸を巡らせ菌糸のネットワークで互いを支え合う世界を構築しているという驚異的な能力の研究もされています。例えば、カナダの森林科学教授のスザンヌ・シマールは実験の結果、外界からではなく地下系においてエネルギーの交換がおこなわれ、さらには相互依存していることをつきとめました。
 熊野で粘菌研究をしていた南方熊楠も樹木と菌の濃密な関係を知り尽くしていた人でした。シマールも熊楠も森林破壊をとめ、森のネットワークを守ろうとしました。
 また、植物と昆虫や鳥との特別なコミュニケーションも分析技術の進歩によって諦らかになってきました。しかし、このことは仏教では、ひばりの鳴き声で麦の生育が促進されるという感応道交として、故河波昌先生の法話で繰り返し拝聴していました。
 仏教でいうところの三身(法身・報身・応身)の一面である法身(自然界の根源)の領域も解明されている点が光明主義の特徴のひとつであり、科学が発達するほどその教義内容がよく分かるようになると思われます。
 ダーウィンの「進化論」とは、この世界は競争であり、弱き者は生き残れないという概念でしたが、一六〇年余り経って最先端の科学は、より深く、生き物の進化の仕組みを「超進化論」として詳らかにしつつあります。
 超進化論と弁栄聖者の共通点は、競争でもなく孤立でもなくお互いを助け合い進化させる「共進化」こそ命を繋いでいけるということだと思います。奇しくもダーウィンの「進化論」が著されたのも、弁栄聖者が生まれたのも同じ1859年です。
 謙虚な気持ちで、目に見える世界だけがあるのではないという智慧を持ち、地球を守っていく決意が求められています。人間と自然は一つであるはずだから。

合掌

  • 参加申込受付中です

  • 更新履歴

  •