雲はれて
さやかに照らす
月かげを
清き光に
たぐひてや見む
『道詠集』二七四頁
〈意訳〉雲が晴れて、はっきりと清らかに照らす月の光は、〔そのまま如来の〕清き光と同様の〔光であると思い仰ぎ〕見ています。
〈現代語訳〉円満に照り輝く月〔のような如来の光明は、〕その麗しさのあまり、〔私の〕心を三昧へと導く。
〈解説〉鎌倉時代の曹洞宗の僧、大智禅師(一二九〇~一三六六)の偈頌、「千峰頂上白蓮華 十里松門入更深 僧社不留塵世客 一輪明月照禅心」の最後の一句である。月(仏)と我が心が融け合う心境を表現したこの句に弁栄上人は強く共感されたのであろう。
著 者 藤堂恭俊
発 行 てるふる
定 価 2,750円(税込)
昭和34年に、弁栄聖者生誕百年記念として出版され、長らく絶版となっていた藤堂恭俊著『弁栄聖者』の改訂増補版(A5サイズ、ハードカバー、約380頁)が「てるふる(為先会)」より復刊。木叉上人著の弁栄上人伝『日本の光』には記されていない史実など、その生涯を伝える貴重な文献の一つ。また著者が本誌に寄稿されたものや著者が遷化の直前に記した手記(詩歌)など「光明随筆」として増補しています。
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