念仏と法話の会(4月)
花輪 智之
◇日 時:5月26日(日)
◇会 場:光明園
◇講 話:近藤伸介氏
◇参加者:18名
夏日和を思わせる日となり、冷房を入れたお念仏会になりました。新しいメンバーが加わり、お念仏、晨朝の礼拝、聖歌をお称えし、午後に近藤伸介講師から「アヒンサー」と「唯識と光明主義」の二つのテーマについて講義をいただきました。
①アヒンサーについて
「アヒンサー(不殺生・非暴力)」という思想は、ガンディーによってインド独立運動における非暴力主義として展開されたが、それに留まらず自身の宗教的信仰を守りつつ、他の人々の信仰に対しても敬意を抱くという彼の宗教観にも影響を及ぼしている。
それは、諸宗教の根底にある普遍性に開かれた態度である。例えば、次のような彼の言葉は驚くほど光明主義の教えに通じるものがある。
「様々な宗教はみな同一の地点に集まり通ずる様々な道である。」
「世界の諸宗教を敬意をもって学んできたが、それらのおかげで、ヒンドゥー教聖典をより明瞭に理解できるようになった」
「神の名のもとに通用していたすべて不純な事を仏陀が正当にも退けた…彼は神を正しい場所に復権させた」
②唯識と光明主義(第2講)
唯識を知ることは光明主義の理解や新たな世界観を開くきっかけになる。
- 8つの識と3つの階層
- 唯識は心を表層、深層、最深層の3つの階層構造からなると説明する。
表層心理は、五感「眼識、耳識、鼻識、舌識、身識」と認識・思考作用に当たる「意識」の6つで形成される。
深層心理は、心の根底をなす最深層の「アーラヤ識」と、そこから生じる自我意識である「マナ識」の2つの無意識によって形成される。唯識では、これらを「八識」と呼ぶ。
なお、「唯識」の「識」は心に浮かぶ「表象」を意味し、「八識」の「識」は具体的な心の作用を意味する。 - 種子とアーラヤ識
- 唯識では、様々な識(表層)を生じさせる潜在力を「種子(しゅうじ)」あるいは「習気(じっけ)」と呼んでおり、これらがすべて心の最深層に位置する「アーラヤ識」に蓄えられていくと説明する。
このことは、心に善意/悪意を抱けば、新たな善意/悪意を生む種子を残して、アーラヤ識に蓄積されることを意味する。
初期仏教から「諸悪莫作、衆善奉行、自浄其意、是諸仏教」と唱えられている通り、心に悪意を抱くことなく、常に善意を心がけていれば、アーラヤ識には善の種子が蓄積されていき、自ずと心は浄化されてく。心にどのような種子を蓄えていくのか、新たに生じる心がどのようなものになるかは、すべて自分の日々の心がけ次第。
唯識が説き明かす心は、独我論と批判されるような一人の世界に閉じたものではなく、他者や外部世界との関係性にも開かれている。