光明の生活を伝えつなごう

関東支部だより

山崎弁栄上人百回忌音楽法要

伊藤 旭栄

◇日 時:5月11(土)~13日(月)
◇会 場:光明学園相模原高等学校

 令和元年5月11日~13日、学園を会場として第45回「法のつどい」を実施して頂きました。また、12日には「山崎弁栄上人讃仰会」様主催による、山崎弁栄上人百回忌音楽法要が営まれました。
 本年は学園の創立百周年に相当します。その節目に、学園で弁栄上人のご遺徳を偲び、また報恩の行である「慈業」の一端が展開されましたことは、単に会場として使用して頂きましたこと以上に、その根幹を見つめ直すという大きな意味を持ちました。会場の立場より、また学園の立場より、改めて百回忌音楽法要を中心に報告をさせて頂きます。
 

根幹を知る

 教育現場の役割は、時代に即した人材の育成に他なりません。現代はその変化のスピードが速く、社会で求められる素養や人材像は目まぐるしく変わります。そのような時代に対応すべく、戦後最大とも言われる教育改革が進められる中、学園でも周年記念を契機として、教育環境の整備を進めて参りました。
 しかしながら一方で、私学の私学たる所以は、時代に相即しながらも、伝統に裏付けられた揺るぎない建学の精神に基づき、独自の教育を実践してゆくことにあると言えます。むしろ、激動の時代であればこそ、今一度、その創立の原点に思いを馳せ、そこに立脚した確かな教育を実践してゆくことが私学の使命であると考えます。
 学園の場合は弁栄上人の御教えです。百周年の節目は、そのことを認識する大事な契機でありますし、今年度の法のつどい、百回忌音楽法要の会場として使用頂きましたことは、更に一層、私達に弁栄上人の御教えの意義を意識させることになりました。
 百回忌音楽法要における八木季生台下のご垂示をはじめ、法要後に行われた若松英輔先生の基調講演や、会場を第2アリーナに移して行って頂いたシンポジウムを通し、単に弁栄上人を学祖としてお慕いするというよりは、むしろ激動の時代に普遍的な価値を示される弁栄上人が、その最晩年に「学校」を創立された意義を問い続けなければならないと強く感じた次第です。
 また、法のつどいにおける土屋正道上人、藤本浄彦上人、長谷川匡俊上人、加藤智神父様(以上ご法話順)と、碩学の諸先生により開示される弁栄上人像とその御教えは、学びや気付きと同時に、弁栄上人創設の学校としての責任を痛感させ、その教えを根底に教育活動を行うことへの勇気を頂けるものでした。
 学園に残る資料によると、大正8年の第1期生の入学は26名であったようです。100年後の今日では全校で1650名の規模となり、神奈川県下でも受験生が2000名を超える有数の伝統校として評価を頂けるようになりました。その期待に応えるべく、責任を持って教育活動を展開しなければなりません。その際、教育という視点から弁栄上人の説示を頂いた場合、「霊育」という語が注目されます。「霊育」は表面的な差異や枠組みの相違、また時代を超えて普遍的です。それぞれが各々の使命を自覚し、「光明会員」として目覚めてゆく平等往生の称名念仏の教えが躍動しています。即ち、知育・徳育・体育と霊育のバランスこそ、学園が大事にしなければならない根幹の筈です。今回の「慈業」の会場として使用頂いたことにより、このような学園の教育活動の大本に関し、改めて思いを馳せる契機を頂きましたことは、感謝に堪えません。

多くの皆様と共に

 法要の当日は、学園の教職員をはじめ、生徒会や学園の手を合わせる行事「修養会」を担う研修委員会の代表生徒が献灯・献花・献香で参加をさせて頂いたほか、和太鼓部の生徒が演奏を奉納させて頂きました。法要では井上正明理事長が、法のつどいでは天野雅秀副校長が、それぞれ挨拶をさせて頂く機会を頂戴しました。また、地域の皆様や現役の保護者、保護者OBの方、そして地域紙の取材記者など、学園の有縁の皆様の参加もありました。そのため、第1アリーナに用意させて頂いた300席はほぼ満席で、遅れて到着された方には急遽椅子をお出ししました。多くの道俗の皆様が集う様子を見た保護者の方からは、単に無量光寺のご住職、また単に学園の創設者という認識が変わりました、という声が寄せられました。また「この年齢で初めて学園を知り、法要に参加させて頂いた」と市外から参加されたという81歳の方より、丁寧なお礼状を後日頂戴しましたことも報告させて頂きます。
 学園の記録として残っている周年行事は創立60周年記念が最初で、それ以前は行われておりません。このことは、学園の道のりが必ずしも平坦ではなかったことを物語っているように思います。
 この百回忌音楽法要におきまして、集まった有縁の皆様と共に、その平坦ではなかった道のりを歩み、今日まで学園を繋いで頂いた先人へ感謝を捧げ、何よりも弁栄上人に学園の百年の歩みを報告申し上げ、現在の学園の姿や生徒をご覧頂き、そして更なる躍進をお誓い申し上げることができました。学園では12月に記念式典を挙行する予定ですが、それに先立ち、多くの皆様と共に法要に参加させて頂く機会を得ましたことは望外の喜びです。
 また、法のつどいにご参加の皆様、役員の皆様におかれましては、法要前日の深夜まで準備を担当されていた方もいらっしゃいました。尋常の念仏に芯を通す別時期間でありながら、学校という性質上、設備等が不十分な点も多くあり、貴重なお時間を準備に使って頂いてしまったことは、尊いながらも誠に申し訳なく、深くお詫び申し上げます。
 なお、今回の法のつどいの期間中、谷家よりご寄贈頂きました弁栄上人の墨跡仏画を校内2カ所で展示し、来校の皆様にご覧頂きました。その際、その墨跡仏画集を讃仰会様に作成頂きました。今後も管理体制を万全にしながら、学園のみならず地域の宝として広く公開させて頂く所存です。周年記念である本年は、12月の学園の記念式典後、12月19日より1週間程、相模原市の公共施設において展示会として公開させて頂く予定でおります。
 今回の法のつどい、山崎弁栄上人百回忌音楽法要の実施に際し、金田隆栄上人、矢野司空上人をはじめ、関係役員の皆様には、交通の便が必ずしも良くない当麻の学園に何度もご来校頂きました。学園は僅かなお手伝いしかできず大変恐縮でございましたが、過分なるご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。またご参加頂きました皆様には行き届かぬ点が多々ございましたことをお詫び申し上げます。
 この度、学園を会場に使用して頂いたことは、学園にとりまして次の101年目に向けた飛躍の原動力になると確信しております。多くの皆様の支えを頂いて積み上げた歴史を胸に、今後とも教育機関としての責務を全うして参りたいと思います。

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