お釈迦さまは、弟子や信者の方が正しい道を歩むために、
その人に応じたお説法をされました。
その弟子の中に、ウパリという者がいました。
彼は僧侶となる前、身分が低く、学問などせず、ただ一生懸命、
人にお仕えすることが仕事でした。
そのウパリが僧侶となってしばらくしたある時のこと、
ウパリはお釈迦さまの前に進み、
「お師匠さま、私は都会をはなれ、人のいない静かな場所で一人で
修行をしたいと思いますが、いかがでしょうか?」
この様な静かな場所で修行をすることは、お釈迦さまはよく弟子にすすめていました。そこで、ウパリも、そのような修行がしたいと、お釈迦さまの許可を求めたのでした。
しかし、お釈迦さまは、
「ウパリよ、静かな場所で修行をすることは、あなたには難しい。人のいないところで修行をすることは寂しく、修行を喜ぶことは難しいだろう。また森林での修行は心をおびえさせ、野原での修行はあなたの心を弱くするであろう。その修行はやめておきなさい」
そのように言われたウパリは納得ができません。
(つづく)