光明の生活を伝えつなごう

子供と一緒に学びましょう

子どもと一緒に学びましょう No.35 相手に応じたアドバイス(対機説法)その2

お釈迦さまとウパリとの対話のつづき。

その他の弟子には静かなところでの修行をすすめているのに、なぜ私にはお許し下さらないのだろう。そんな疑問をウパリが抱いていることをお釈迦さまはお察しになり、さらに例えをもって説きました。

「ウパリよ、たとえばここに、一つの大きな池があるとする。そこに、一匹の大きな象がやってきて、その池に入り、背を洗い、耳を洗いはじめる。その様子はまことに楽しげである。そこに、一匹のうさぎと猫がやってきて、じっとその様子をながめている。やがて彼もまた、その楽しげな様子にひかれて池の中に入ろうとする。そして少しその池に入ると、急にこわくなり池から飛び出てしまう。それはなぜかというと、象と彼らとではその体の大きさがまったく違っているから、深くて驚いたのである。」

そのように、例えた後、お釈迦さまは、
「ウパリよ、あなたは弟子が集って修行をしているここにいなさい。ここで修行をすることであなたは安らかな心でいられる境地にいたることができるでしょう。」

このお釈迦さまのアドバイスに従い彼は生涯、弟子が集う中での修行をまっとうしました。お釈迦さまは一人静かに修行するのではなく、仲間との共同生活の中でこそ、彼は悟りに到ることができると見抜かれたのでしょう。それは僧侶となる前の彼の生い立ちに理由があるのかもしれません。学問をすることがありませんでしたから、一人静かに思いを深めていくことを得意とはせず、人に仕えてきた彼の生い立ちから、人の和の中こそ修行の場であろうと思われたのかもしれません。とにかく彼はそのアドバイスの後「自律第一のウパリ」と皆に言われ誉めたたえられました。自律第一というのは、集団生活における決まりごとを一番よく守る人という意味です。

(おしまい)

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