光明の生活を伝えつなごう

関東支部だより

関東支部 平成20年10月

相模原親子別時を終えて

 

植西 武子

夏休み恒例の相模原親子別時、数えて8回目です。初日の8月1日、灼熱の太陽が照りつける暑い日でした。午前11時の受付開始2時間前に光明学園相模原高校の修養室に入りますと、既に伊藤旭栄先生の指揮の下で学園の生徒さんたちが準備を始めていて下さいました。整然と並べられた座布団、その右肩に木魚、礼拝儀、歌集の3セットが置かれ、見渡せば広々とした会場はすっかりお別時の開会を待つばかりでした。その上、空調が完備しているお蔭で、汗だくで到着される皆さんを心地よく迎えることができました。

毎年ほぼ同じスケジュールで実施していますので、本年は主に子供に視点を当て印象的な部分のみ報告します。

参加者

今回は子供たちの参加が多かったことが何にも代え難い喜びでした。とくに最年少4歳の長岡未沙ちゃんの参加は一つの記録になりました。多分、半分は会場の後ろでお昼寝になるだろうと勝手に予想していましたが、全日程をお姉さん方にくっついて離れず、お念仏、聖歌、ご法話、食事、お遊び全てを意欲的に見事にこなしてくれました。感想文を書く時もお姉さんたちの中に座って、如何なる文にも勝る素晴らしい仏様を描いてくれました。

共催の中部支部(名古屋)から、昨年に続いて小川晴江さんが友里ちゃんと奈己ちゃんを伴って参加下さり、うれしい限りでした。その上、ご両親である内藤忠雄・規利子さんご夫妻の参加申込みを頂いた時は、思わず合掌しました。静岡から友田達祐上人が車2台で7名を伴って参加下さる予定でしたが、運転を予定されていた一人が直前に急逝されるという衝撃的な報せが入りました。その方は以前にも参加されたことがあり、快活なお姿を思い浮かべ、心よりご冥福を祈りました。そのため今年は静岡の皆さんにお会いすることができず、淋しく思っておりましただけに、名古屋から親・子・孫の3代ファミリー5名でご参加下さったことで、とても勇気づけられました。

3代ファミリー参加といえば、田代直秀支部長夫妻もご長男・孫の寛仁君の4名で参加下さいました。今年はお兄ちゃんが学校の都合で参加できなくなりましたが、寛仁君は「1人でも行く」ととても意欲的に参加してくれました。

花岡こうさんも長女の由起さんと長男の子供さんであるまゆちゃんの3人で参加下さいました。家庭内でお念仏が継承されていく理想的な形としての3世代ファミリー参加が3組もあったことは大きな喜びでした。

鉢伏山親子別時の創始者・藤本浄本上人の功績の大きさと、それを継承された八木季生上人、足利千枝先生、中牧淑子先生方の長年にわたるご尽力の成果が四半世紀の時を経て結実したものと思うと感慨ひとしおです。

光明学園卒業生の能條智美さんは6回連続参加で小1の妹さんを連れての参加でした。保母さんの勤務を終えて午後から駆けつけられました。矢後秀輔君も毎年参加で6回目を数えました。小さい子供たちに人気があっていつも取り囲まれている姿はとても微笑ましいものでした。子供たちが一番喜び、夢中になるのは大きいお兄さん、お姉さんたちと遊ぶことです。

献灯式

子供たちの心に大きなインパクトを与える献灯式、最も緊張する瞬間である最も期待していた場面です。今年は日程の関係で光明幼稚園からの園児の参加がありませんでした。残念でしたが、幸いにも本年は16名の子供(卒業生も含む)がいて、落ち着いた厳粛な雰囲気の中で行うことができました。

「聖きみくに」のBGMが流れる中を一人ひとりが真剣な面持ちで静かに仏前に進みます。ロウソクを仏前にお供えして、合掌して真剣に祈る姿はとても感動的でした。小川友里ちゃんの作文の中にその一端が伺えます。

今年は遠藤由起さんがピアノ伴奏をして下さいました。テープの音に比べて、やはり質感があり、曲想を把握した演奏は一段と心に響くものがありました。親子別時のハイライト、献灯式は足利千枝先生の発案だと聞いています。この灯火が永遠に続きますようにと祈りました。

ご法話(要点)

※子供法話
最初にお念仏の作法、木魚の由来についてお話し下さいました。
その後で「蜘蛛の糸」のお話をゆっくりした口調でやさしく、時には力強く語り掛けて下さいました。未沙ちゃんも目を見開いてしっかりと聞いていました。
※大人用ご法話
2回にわたってありました。
母国語の習得と芸術性と宗教性は年齢が低いほどよい。幼児期に宗教性に触れることが大切である。胎教の重要性についてもお話がありました。
本論として、仏教の起源や釈尊の修行に触れながら念仏の目的についてお話を展開されました。
人間として逃れることの出来ない苦悩の生・老・病・死、いわゆる四苦八苦を如何に解決するか。正覚を成就するよりほか方法はない。
成等正覚は五感を超えた意(識)の世界に於いてのみ得られる。修行を重ねることにより、四大知恵が発達して「識」が「智」に変わる。(転識得智)
しかし衆生が意識の先を理解するには非常に困難を伴う。そのため、一つの方法として、方便でもって説明する。「法蔵菩薩の四十八願」(十八願)がそれである。念仏をする人は誰でも極楽に導く力、「本願力」である。
六波羅蜜」の厳しい修行をしなくても「念仏」によって救われると説かれたのは法然上人である。その偉業と生涯についても言及されました。
生命は進化する。進化には極点がある。この極点こそ阿弥陀仏である。念仏することによって衆生もこれに達することができる。従って念仏は進化の先取りとも言える。
「絶対性は阿弥陀様のお力を頂かないと身につかない」弁栄聖者は90年前にこのことを説いておられる。法然上人の教えを引き継ぎ、明治の外国文化導入によって時代に合った新しい説き方をされた弁栄聖者も、また偉大である。

茶話会

この時間帯が全員が向き合って会する唯一の機会です。お菓子とジュースを頂きながらの自己紹介、4歳から86歳までの異年齢集団は他にはないと思いわれます。

最高齢の船橋富江さんは長年、東京光明会で念仏を重ねてこられ、親子別時でもお馴染みです。センスのあるファッションで背筋を伸ばしたお姿と、てきぱきとしたお話しぶりは若々しいです。そして子供たちに無言のメッセージを発言されております。子供たちは参加されている大先輩の方々の姿や行動からいろんなことを学んでいます。これがとても大事なことです。生徒の感想文のあちこちにそれを読み取ることができます。「居心地がよく、安らぎを感じた」という表現はそれを物語っています。今年はこの時間を少し延長し、この幸せなひとときを満喫しました。

謝辞

ご導師の八木上人は、今年も大変お忙しい中を何とか日程を調整して2日間ご指導下さいました。40年近く親子別時に携わってこられた実績で、自ずと参加者をふんわりと包み、子供たちの心をすっかり捉え、とても意義深いお別時にして下さいました。心より感謝しています。

快適な会場を提供下さった光明学園相模原高校の千葉末次校長、中島保理事長、齋藤冨美雄事務局長には、大変ご理解を頂きました。夏期合宿で宿泊棟の利用が一番多い時期で生徒の皆さんにもご迷惑をお掛けしました。

伊藤旭栄先生の総指揮の下に、卒業生、生徒の皆さんが献身的に活動下さいました。鴨志田敏彦先生、戸根久美子先生は生徒や子供たちの指導にご活躍下さいました。光明学園の力添えによって本行事は成り立っているといっても過言ではありません。参加卒業生の岩本美紗子さんが感想文で「光明学園の卒業生でよかった」と述べていることに、大変感激しました。参加生徒の中から弁栄聖者のみ教えに叶う人材が育つことを衷心より願うものです。

学園関係者として大きくかかわって下さった伊藤力先生、OB会副会長の高橋清美氏のご援助で無事有意義な会を終えることができました。

最後になりましたが、今回ご参加下さった皆様方に深く感謝しています。再会を期しつつ、お礼申し上げます。

合掌

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