一行三昧の会
植西 武子
◇日時 平成21年1月15日(木) 10時~16時
◇講師 金田昭教上人
◇参加者 10名
この日は好天に恵まれましたが、今冬で一番気温は低く北風が身にしみる日でした。河波上人様はご在宅で、お念仏や茶話会にもご参加下さいました。
新年最初の会でしたので、金田上人は参加者全員に「新年の誓い」をする場を設定されました。午後のお念仏が始まって少しした時「今から新年の決意を仏様の前で誓って頂きます」と言われ、隣室に案内されました。すると準備万端、机上には筆と半紙、「平成21年誓願文(見本)」が用意されていました。
内容は
一、日課誓約(本年日課○○遍のお念仏を称することをお誓い致します。)
二、光栄の勤(本年、栄光の勤として○○○○させて頂きます。………)
三、廃悪の発願(私には○○○○な邪悪な癖があります。本年一年を通して正して参りたいと思います。如来様どうか護念し給え。)
と記されていました。
心の準備が無かったので皆さんの表情に一瞬、戸惑いと困惑が過(よぎ)りました。しばらくして、各自がそれぞれの思いでもって下書きを始めました。お互いにまさに「隣は何を書く人ぞ」といった心境でした。やがて清書も出来上がりいよいよ一人ひとりが順番に仏前に誓いの書を供え、合掌十念で誓いました。誓いの内容は全て非公開で封筒に密封され、来年の誓いの日に本人に返却されます。この誓いを如何に実現するかという大きな宿題を頂きました。
金田上人は若いエネルギーとアイデアで、熱心に我々を導いて下さいます。その熱意に応えるべく、この誓いを破ることなく努めねばと思いました。誓いの後みんなは一層、心を引き締めてお念仏に専念しました。お蔭できりっと締まった気分で新年をスタートすることができました。
念仏と法話の会
◇日時 平成21年1月25日(日) 10時~16時
◇講師 河波定昌上人
◇参加者 36名
春のような日差しがふり注ぐ暖かい日でした。光明園に着きますとお念仏の最中で、皆さんの熱気と暖かい外気の両方で室内は汗ばむほどでした。
会場はほぼ満席でお念仏たけなわといった感じでした。初参加の方が数名おられました。今月のご法話は「出家の意義と修行について」のテーマで仏教塾の方を対象に午前中にあり、午後のご法話はその内容に引き続いてのお話でした。
ご法話
- 午前の部
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維摩経では如来様の前では在家も出家も同じと説かれている。阿弥陀さまの前では全てが平等である。しかし、得度には在家と出家の違いがある。
※帰依三宝(畢竟依)- 願従今身尽未来際
帰依仏両足尊
帰依法離欲尊
帰依僧衆中尊
いいことをしたことに対し喜ぶことがさらに良い(随喜)。大品般若経に随喜品について書かれている。随喜して喜ぶことが大切である。在家の人にも出家の功徳がある。今の身より未来際をつくして仏様に帰依し奉る。
「あみだ仏と 導き方を 念ほえば 念う心ぞ いや尊とけれ」
- 流転三界中
恩愛不能断
棄恩入無為
真実報恩謝
出家と在家は別々ではなく、お互いよりよく刺激し合って平等な立場で覚りを深めていくよう精進していくことが大切である(相互突破)。
- 剃除鬚髪
当願衆生
断除煩悩
究竟寂滅
戒名について=戒名とは「存在意識の改革」である(ヤスバースの言葉)。命名された出家比丘(びく)の名を呼ぶことが大切であり、出家得度、在家得度に係りなく意識の変革が大切である。また、学と覚の双方を究めることが大切である。
「これ青年の華 驀直(まくじき)突進 横向く勿れ」である。ベネディクト会では修行の三原則として ①祈り ②労働 ③読書 を掲げている。浄土宗にも ①掃除 ②勧行 ③学問 とある。お念仏をしながら仕事をすること、即ち、念仏の中で掃除をし、念仏の中で勧行し、念仏の中で学問する。いつも阿弥陀様と一緒にいることが何より肝要である。
- 願従今身尽未来際
- 午後の部
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大乗仏教の発展と善導大師
大乗仏教成立以前の僧院仏教での僧侶たちの修行は ①戒 ②定 ③慧 のみであった。その後 ④施(布施) 更に ⑤忍(忍辱) ⑥進(精進) が加わり、いわゆる六波羅蜜となる。
大乗仏教では出家と在家は一体となって修行を行う。これは大乗仏教の一つの特徴ともいえる。さらにもう一つの特徴は大乗仏教は ①インド仏教と②ギリシャ文化 の融合によって発展してきたといえる点である。
アポロンの神を信奉していたギリシャ人はやがてインド仏教と結びつくことによってアポロン仏として信奉した。ギリシャ語のグノーシスは英語のknow、即ち智慧を意味し、グノーシスの思想は仏教での般若の思想となる。
初期大乗仏教は般舟三昧を父とし、般若波羅蜜を母として生まれたといわれる所以である(竜樹菩薩の『大智度論』)。
この般若三昧と般若波羅蜜は初期大乗仏教の支柱であり、これがやがて中国に伝わり、善導大師によってさらに展開されていったのである。その善導大師の書に触れて法然上人が大きく転換されていった。善導大師なくして法然上人はないと言われるほどである。
善導大師と出家の修行
浄土宗にとって観無量寿経は重要な経である。聖冏上人の「総依三経別依一経」なる言葉がある。十四行偈について
道俗時衆等 (道=出家、俗=在家 時代を生きる皆さん方よ)
各発無上心 (各=一人一人 各々が無上心をおこして)
生死甚難厭 (生死をはなれることは、はなはだ厭いがたし)
仏法復難欣 (仏法また、欣(よろこ)びがたし)
共発金剛志 (共に金剛の志をおこし、………椎尾弁匡上人は共生(ともいき)を推奨された。)
横超断四暴流 (四暴流=欲暴流、有暴流、見暴流、無明暴流)
今乗二尊教 (今、二尊の教えに乗じて)
広開浄土門
願以此功徳
願共諸衆生 (善導大師においては各と共とは一つである。)
往生安楽国
於念々中除
八十億劫生死之罪 (鳥海山に二万トンの雪が降るといわれている。しかし、この雪が海面に降れば立ち所に消えてしまう。煩悩が消えていく。………「空」)伝統的浄土宗では ①掃除 ②勧行 ③学問 を大切にしたが、さらに加えて念仏(三昧)を重視した。「念仏為先」である。これをあらためて強調した人が二祖聖光上人(鎮西)である。
鎮西上人と浄土宗の行法
鎮西上人による『末代念仏授手印』(1228年)によって浄土宗の行法が確立していく。五種正行、正助二行、三心、五念論、四修、三種行儀は結帰一行三昧に納まる。五重相伝(在家、出家の別あり)
究竟大乗浄土門
諸行往生称名勝 (お念仏の称名が最も勝れている。)
我閣万行選仏名
往生浄土見尊体 (お浄土に往って仏様にお会いする。)
在家と出家が相互に刺激し合って、一つになって覚りを実現していく集団となって行くことが大切である。相互突破こそ最も求められるものである。
茶話会
ここ二、三回前から、茶話会は道場に机を縦に並べ、従来の椅子席と道場の座席がT字形をなし、みんなの顔がみえるように配置されるようになりました。このため、仏教塾の方たちとも交ざり合って座し、より親しくお話ができるようになりました。とくに初めて参加された方には会に馴染んでいただけるよう配慮することが大切です。あちこちで会話の花が咲いていました。
何といっても仏教塾の方たちは修行熱心は言うまでもなく生活面でとても行動的です。年末には「光明園大掃除」を計画され、ほぼ全員が参加して早朝より夕方まで見違えるほどきれいに清掃して下さいました。大きな木を剪定する人、書庫を整理する人、ガラスを磨く人、玄関周りを清掃する人、畳を拭く人、など手際よく分担しての大清掃でした。夕方からは女性の方たちが腕を振るったアンコウ鍋で、賑やかに楽しげに杯を傾けておられる姿に圧倒される思いでした。仏教塾に昨年は3名、今年は2名の女性の方たちが参加され、僧籍を取得するため頑張っておられます。その方たちが例会のお茶の準備や後片づけを全面的にして下さいます。全員が一致団結して行動されるのもその実践力に頭が下がる思いでした。
日々に思うことですが、一方で弛まざる念仏修行を積みながら、他方で世のため人のため尽くす働きができているか反省することしきりです。超日月光仏の「智悲の日月の照す下、………三業四威儀に行為(つとむ)なり」が実践できているかどうか甚だ疑問です。今年こそ、その原点に立ち返り努力しなければと誓いを新たにしました。
光明主義発展のためには、一人ひとりがその自覚を持って、まず行動を起こすことが求められていると仏教塾の方たちから指摘された思いでした。