光明の生活を伝えつなごう

関東支部だより

関東支部 平成21年10月

第9回 相模原親子別時

植西 武子

親子別時は例年8月初めに実施していましたが、今年から光明学園の行事予定により日程が変わり7月になりました。またご導師も長年ご指導下さった八木季生上人が増上寺の台下となられましたので、その後任として山上光俊上人にご指導を仰ぐことになりました。

24日は台風の影響で朝から雨が降ったり止んだりのあいにくのお天気でした。9時前に多分一番乗りだろうと思って光明学園に着きましたら、事務室の方から既にお上人様がお見えだと聞いて急いで修養室へ向いました。お上人様は夜行列車で早朝に横浜にお着きになり、佐々木有一氏が最寄り駅から車で案内下さいました。会場設営は伊藤旭栄先生が前日からすませておいて下さったので、当日は仏前にお花を供えて準備完了となりました。

参加者

今年は共催の中部支部からの参加者数が過去最高を記録しました。静岡から6名と名古屋から8名が参加下さいました。支部間の交流が深まって行くことは何よりも嬉しいことです。静岡の祢次金さんが法友を誘って総勢6名で大雨警報の出ている中を早朝から駆けつけて下さいました。また名古屋からは昨年同様に内藤規利子さんご夫婦とその娘さんである小川さんが二人の子供さんを伴い、親・子・孫三代ファミリーで参加下さいました。その上、今年は内藤さんの妹さんである渡辺さんが二人のお孫さんを連れて参加下さいました。子供の参加が増えることはこの別時の目的に叶うことであり、大きな喜びでした。昨年小川さんのお誘いで見学された鳴海さんと10歳の息子さんが、今年は全日程の参加をして下さいました。このようにだんだんと人の輪が広がり、仏縁の糸が紡がれていくことに深く頭を垂れました。

昨年最年少(4歳)で参加して、よく頑張った未紗ちゃんは本年は転居のため参加できず淋しく思っておりましたところ、今年は更に記録を更新して3歳の華ちゃんが来てくれました。二人のお兄ちゃんは塾やサッカーの合宿があるため代わっての参加です。眠い目をこすりながら一生懸命メモをとる姿は昨年の未紗ちゃんそっくりでした。

光明学園の卒業生の何人かが毎年続けて参加されることもうれしいことです。就職活動や仕事の関係で忙しい中をやりくりして参加してくれました。

毎年参加の能條さんは今年も小学生の妹さんを連れて参加してくれました。「妹が平素は経験できないことがここでは体験できて良かった」と言っていました。お念仏の功徳が保母さんとして働く彼女の日々に仕事に生かされていくことを願うばかりです。

献灯式

今年は光明幼稚園から多数の園児とその父母の参加がありました。園児の総数が150名を超えましたので、二部制に変更して実施しました。うれしい悲鳴です。

幼稚園の要望により時間的に早く始めましたので、外はまだ夕日が雲を茜色に染めていました。献灯式にはほど遠い状況でしたがカーテンを閉めてやっとそれらしい雰囲気となりました。最初は年少組から始めました。入堂してきた子供たちはとても興奮していて賑やかです。厳粛さを求める献灯式がどうなるかと案じましたが、さすが子供好きの山上上人、うまく子供たちを落ち着かせるように導いていかれました。

最初に木魚の叩き方の実践をして、いよいよセレモニーに入りました。やはり子供たちは一人ひとりの献灯に非常に緊張している様子でした。中には泣き出す子もいました。やがて仏前にみんなの捧げた灯が明々と周りを照らし出しました。

その雰囲気の中でお上人様がゆっくりかみ砕くように語りかけられました。子供たちの心に一言一言がしみ込んでいくように思われました。後部席で見守る保護者の方の心にも法の種が宿りますようにと祈りました。

その後、年長組が交代して、同様のセレモニーが始まりました。さすが年長組、最初から雰囲気が違いました。静かに入場し、お上人様のお話を熱心に聞き、問い掛けにも迅速。活発に反応します。一言一言がとても純真で、そのやりとりを聞きながら、この時期こそ宗教性を涵養する最適な時期だと思いました。そして仏前に献灯する一人ひとりの子供たちの心にこの灯火が燃え続けることをひたすら祈りました。献灯式は親子別時の大切なプログラムの一つであることを改めて認識した場面でした。

ご法話(要点のみ)

子供向けのお話
最初に「キイちゃんのお話」という本を読まれました。内容は障害を持った女の子が幾多の困難を乗り越えて力強く生きて行くというお話でした。
その後で世界中にはたくさんの人が住んでいるが、みんな一人ひとり違いがあって、どんな人にもそれぞれ良さがある。人と比べて喜んだり悲しんだりしないで、私は私の考えを持とうと話されました。そしてみんなで童話の「チューリップの花」を歌いました。「・・・・赤、白、黄色、どの花見てもきれいだな・・・。」
最後に「人を羨んだり、蔑んだりするのはやめて、私の中の宝を見つけよう」と結ばれました。
大人向けのお話
24日午後と25日午前の2回に亘ってテーマは「いのち」でお話をされました。

24日

最初、ご自身が17歳の時に光明主義に出会い、京都(古知谷)、長野(鉢伏、唐沢山)の別時に参加し、修行を重ね、弁栄聖者のみ教えによって僧となった旨、お話しになりました。更に90回忌のこの年に聖者ゆかりのこの学校でのお別時に来ることになったのも、弁栄上人とのご縁を深く感じると語られました。

  • 21世紀は政治、経済、宗教界、すべてが混沌としていて、「いのち」が軽んじられている状況にある。
  • 「生老病死」を通して「いのちとは何か」を追究する。まず、「生きる」には感動する心を持つことが大切である。それには良い歌を歌ったり、短歌や俳句を創ったり、自然をよく観察することである。そうすることによって情緒的に潤い、心が元気になり、自ずと体も元気になる。一輪の花に一生懸命生きようとする力を知り、朝日
  • 優美を見ることによってその美しさに憧れる。西に沈む夕日の美しさ(光明)はやがて往くお浄土への憧れとなり(観無量寿経の日想観)、「老い」の苦しみから解放され「死」を如何に迎えるかの心構えとなる。「空」を体験した人はその境地を「光明」と言っている。
  • 如来はいつも正面に在す。法然上人はその光に二通りあると言われた。即ち、①常光と②神通光である。①常光は三千大席ァを照らし、しかも遮ることのない光(無礎光)である。②神通光は念仏する者のみ注がれる集中的に透る光のことである。これらの光によって人は救済され、命を全うするのである。
    (お上人様はご法話の中に二つのエピソードを入れてお話し下さいました。一つは山田泉さんと面談されたこと、その歌をCDで聞かせて下さいました。二つ目は若き日に訪問されたシルクロードの印象的なお話でした。
25日
  • 苦は自分の思う通りにならないことから生ずるものである。したがって四苦からの解放は清き光に照らされて自分の垢に気づくことから始まる。
  • 瞑想の宗教、救いの宗教、更に仏教は智慧の宗教でもある。智慧と慈悲に満ち満ちた光の世界に救いの道がある。
  • 善導大師、法然上人、弁栄上人は念仏による救いを説かれた。とくに弁栄上人は三昧発得の教えを実験実証して示された。確たる裏付けのある教えである。
  • 光を頂いて生活している私への自覚が何より大切である。
    (お上人様はさらに視点を変えて大宇宙と小宇宙と対比しながら偉大なる力についてお話されました。)

    ①大宇宙の中の私
    先日の46年ぶりの皆既日食、あの天体ショーを見ていると宇宙船に乗っていると実感する。(無限の宇宙の不思議さを具体的な数字を示して話されました。)
    ②私の中の小宇宙
    ミクロの世界の遺伝子、細胞の核の中に納まっている遺伝子、その中に多量の情報が書き込まれている。この両者からの偉大なる力、Something Great の存在に考えが及ぶ。まさに不可説の世界。「私たちの大元は何なのか?」「命は全てに連なっている」「自分は生きている。いや生かされている」「その命をどのように使うか?」
    ③光の中にいる私
    三千世界の中にいる私の自覚、お念仏によって限りなく開かれている心霊界、生かされていることへの感謝の気持ちで、みさかえを表す働きをしていくことが大切である。
  • 阿弥陀様の働きを三身即一で説かれた。
    法身=目に見えないが決まりによって然らしむる働きをしている阿弥陀様。
    報身=南無阿弥陀仏を称えたら、必ず救って下さる阿弥陀様。
    応身=ありどうしの阿弥陀様。
  • 生まれ難き人に生まれ、会い難き法に会えたことに感謝して、今、現にここに在すことを信じて日々精進を重ねましょう。

茶話会

子供たちにとって何より楽しみのおやつタイム。子供たちはいそいそと準備を手伝ってくれました。卓上のおやつと飲み物を頂きながら歓談しました。静岡の皆さんから頂いたうなぎパイは子供たちに大好評でした。

やがて恒例の自己紹介が始まりました。87歳から3歳まで、こんなに年齢差のある集団は珍しいことです。順番にマイクが手渡されていきます。3歳の華ちゃんはどうするかと気にしていましたら、さっと立ち上がり臆することなく「私は○○華です。6年生です」と言って澄まし顔で座りました。みんなが所属学年を言っているので大好きなお兄ちゃんにあやかったのでしょう。微笑ましい一こまでした。

この自己紹介の中でいろんな発見があったり、共有する過去の思い出や、不思議な縁の糸が紡がれたりで、これも得難い機会の一つとなっています。

今年のトピックスは初参加された渡辺さんが古い唐沢山別時の写真を持って来られたことでした。導師が山上光俊上人ということで「ひょっとしたら熱心なあの学生さんではないか」と、当時の数枚のスナップ写真も示されました。約40年の時を経ての再会でした。感慨深い一場面でした。

おわりに

今年のお別時も皆様の温かいお力添えによって無事、有意義に終えることができました。今回初めて天候に恵まれず、楽しみの花火大会が出来なかったことは実に残念でしたが、光明幼稚園の園児が多数参加しての献灯式が盛大に行われ、法の種まきができたことは何より嬉しいことでした。また、一番の懸案だったお導師を山上光俊上人様がお引き受け下さったことでした。ご遠方で大変お忙しい中をやりくりしてご指導下さいました。充分な打ち合わせもしないままに突入してしまい、お疲れの中を休憩なしのハードスケジュールで実に申し訳ないことでした。とても大らかで柔軟に対応して頂き感謝の気持ちで一杯です。親子別事に新しい風を吹き込んで下さいました。有難うございました。

本年より金田昭教上人が維那役でお手伝い下さることになりました。称名念仏を若いエネルギーでぐいぐいと引っ張って下さいました。子供たちはお兄さんのような気持ちで馴れ親しんでいました。

最後になりましたが、この素晴らしい会場を提供下さいました光明学園の中島保理事長、千葉末次学校長、斎藤富美雄事務局長に心よりお礼申し上げます。献灯式に多くの園児の参加にお力添え下さいました吉村智之園長に心より感謝致します。

本別時の総括指導の伊藤旭栄先生のお力によって、全てが円滑に実施できました。無事終了できましたのは伊藤先生の細心の計画と綿密な学園との連絡・交渉によるものです。そのご活動ぶりにいつも合掌しています。

来年も皆様との再会が叶いますこと、そしてまた新しい出会いがありますことを祈念しております。

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