聖者から女性へのメッセージ
昔、キリスト教の中興の偉人に、オーガスチンという聖人あり。その母は非常に熱心なるキリスト教の信者であった。それを自身の熱烈なる信仰から、考えてみれば、人間に生まれたかいがない。それで自分の信仰のごとくに、すべての人々にも信仰をもたせたい。それにしては自分の一子、オーガスチンを宗教家にして、すべての人に自分の信仰をわかつことにしたいというので、ついにその望みのごとくに子息をキリスト教の偉人として、せかいに宗教を広めて、母の信仰のごとくに世界の多くの人に及ぼしたという。
貴姉も、オーガスチンの母のごとくに倣いて、自分の信仰の妙味を深く味わい、よく嘗め、人生の一大事何ごとかここにしかんと、どうか自分の味わいつつあるごとくに、この妙味をみずから世の多くの人々に及ぼすことあたわざるゆえに、子息をして、今自分の味わいを一切の人々にわけしめんと。それにつきては、貴姉みずからよく宗教の真意を得たまえよ。私は貴姉のために、深く信仰の妙趣に至らしめんことを欲してやまず。世間は宗教の真意行なわれず。宗教家も従来は大いに衰頽せり。
しかれども、これ今日は過度の時代にして、旧式はすでにすたれて、まだ新式あらわれざるためのみ、もはや世は、新しき宗教の曙光は放たれり。
暁、また遠からざるべし。
とまれ愚衲は、貴姉の信仰をいよいよ深きにいたらしむことを望ましきまま、お勧め申すことかくのごときにござ候。
『お慈悲のたより』中
ミオヤを頼め。
然らばミオヤはいかなる力をも与え玉はん。
女子はかよわきは天性なり。然れども全く心一に至るときはまたいかなる事にも動ぜざる金剛心も却って男子よりは強きにいたるもまた天性なり。
何ぞ一心に信念を養ひて精神の奥に潜める金剛心を発揮せざるぞ。
『お慈悲のたより」上(抜粋)