田代 悦子
平成20年の10月・11月号に一度掲載させて頂きましたので、今回その続きとして書かせて頂きました。
新しい年を迎えて
平成26年も恙なく迎える事が出来ました。日頃、2人暮らしの我が家に、2日から長男一家、3日には次男一家と、家族全員が集合し、賑やかなお正月を迎える事が出来ました。
朝、全員が揃うと、一番小さい小学2年生の華ちゃんが、仏壇の前に座布団を並べ、木魚と礼拝儀を揃えて、
「準備が出来たので皆座って下さい。」
と言って来ました。華ちゃんの指示通りの席に皆座って、礼拝儀を唱和して、お念仏を致しました。
皆の声が合ったお念仏を聞きながらこの様な心のなごむお正月を迎えられます事に心より感謝いたしました。そして、この時親・子供・孫と揃ってお念仏が出来るのは、一世代前の横尾伯父さんのお導きと思い当たりました。
横尾熊彦伯父さんの思い出
私の光明主義との御縁の原点は横尾の伯父さんであったと思います。伯父さんは母の一番上の兄で、一番下の母とは22歳の齢の開きがあり、両親を早くに亡くしたので、全く親代わりとして母を育ててくれたそうです。
そして私達兄弟も伯父さんの影響を受けて育ってきたと思います。
私が中学2年生の頃に、父の転勤にともない、佐賀の伊万里から伯父さんの住んでいる八幡へ引っ越す事になりました。その時新しく家が出来るまで、半年位一家で伯父さんの家で一緒に暮らす事になりました。
その間の伯父さんの様子が現在の事の様に思い出されます。当時伯父さんは毎朝4時に起床され、水をかぶり冷水摩擦の後、奥座敷の弁栄聖者の御絵像の前でポクポクと木魚を打ちながら、大らかな声で7時迄のお念仏をとても楽しそうにされていました。 7時になると伯父さんは私に美味しい紅茶を入れて、新聞と一緒に持って来る様にと私の日課を作って下さいました。そして勉強の事など色々なお話をして下さいました。
「悦子ちゃん。転校すると勉強が遅れがちになると思うが大丈夫?」
と何時も気にかけて下さいました。
伯父さんに心配をかけない様にと、私も伯父さんを見習って4時に起きて遅れを取り返すべく朝の勉強をするようになりました。この習慣は今も残っており、早起きして読書や手紙を書いたりしています。
そして、更に大きい影響がお念仏です。伯父さんは、当時私の父もお手伝いをしておりました八幡光明会の会合を自宅で開いておられました。月初めの5日間、朝念仏をご近所の方たちが集まって行われていました。
又一日結集のお念仏会には田中木叉上人や菅野真定上人達がいらして下さったと思います。
凛としたお上人達のお姿は今も私の心の中に大切にしまってあります。この様な環境の中で私はお念仏の大切さを教えてもらいました。
伯父さんのお墓詣り
光明会の「法の集い」が金戒光明寺で開催された時、かねて念願だった此のお寺の墓地に眠っておられる横尾の伯父さんのお墓詣りを致しました。
広い墓地でしたが、光明会近畿支部のお世話をされていた城陽市常楽寺の故江島秀法さんと奥さんのまゆみさん(私の従妹)に案内をして頂きました。
伯父さんは予ねて、
「自分のお墓は質素な造りにして欲しい。」
と言われておりましたので、伺ってみると、本当に伯父さんの仰った通りの小さいお墓に感動しました。
ご自分に厳しい伯父さんはそろそろ運転手さんにお願いして通勤を車でと社員から薦められても、
「いや未だ電車でいい。」
と言われて電車で通っておられました。時々お会いして一緒に帰った事がありますが、電車を降りて20分ぐらいの道をさっさと歩かれて大変お元気でした。私は今も良く歩きますがこの様に身をもって教えて頂いた事が本当に沢山あります。
孫娘に思う事
幼い頃から良く泊まりに来ている孫娘の華ちゃんは、なんでも私達のする事を一緒にしたがる子供でした。
お念仏をしていても自分もすると言って幼稚園に入る前から、短時間ですが横に座って木魚を叩いたり、線香の火は必ず自分で点けるといった調子でした。お兄ちゃん達にも作ったのですが、名前入りの華ちゃん専用の木魚を作ってからはお念仏の時間も少し長くなりました。
幼稚園に入った年に始めて親子別時に参加し、皆が礼拝儀を読むので、家でも一緒に礼拝儀を唱え出しました。平仮名が読めるせいか、一緒に礼拝儀を唱えているうちにあっという間に朝の礼拝は覚えてしまいました。
小さい頃の記憶力の速さに驚いた事でした。そのうち沢山の先祖の戒名にも振り仮名をつける様に頼まれ、今では完全に一緒に朝の礼拝が全部出来る様になりました。
今年お正月に、
「華ちゃん。今年の親子別時参加出来るかな。」
とたずねましたら、二つ返事で、
「もちろんよ!」
と言って来ました。とても毎年参加する事を楽しみにしています。
3歳から参加して今年で6回目になります。小さい頃の体験としてお念仏が出来、如来様をお慕いする機会を作ってあげるのが、私達の役目ではと思うこの頃です。