平成23年4月関東支部例会報告
一行三昧の会
佐藤 洋子
◇日 時:4月3日(日)
◇会 場:光明園
◇講 師:高橋敏子 さん
東北大震災の余震が続く中でのお念仏会でした。午前中はお念仏、『如来光明礼拝儀』そして聖歌を唱いました。午後は、お念仏と高橋敏子さんのお話がありました。高橋さんは福島の出身であり、今回の震災では家を流されて呆然自失の中で、手を合わせ祈っている老婆の姿をテレビで見た時は、胸をえぐられる思いをされたとのことです。「人は何のために祈るか」というテーマでしたが、自然の前では、人間は自我や自尊心を捨てて謙虚にならなくてはいけないこと。自分の限界を知った時に初めて、心の底から発せられることばとして、「祈り」がでてくること。祈る時に、神様・仏様は応えてくれる、呼応の関係にあること。そして、祈る行為によって、自分の心の中に安心が得られることなどを話されました。大震災にあわれお浄土に還られる方々のご冥福をお祈りするとともに、復興に向けてオヤ様よりお力をいただけるよう祈念してお念仏をいたしました。
念仏と法話の会
植西 武子
◇日 時:4月24日(日)
◇会 場:光明園
◇導 師:河波定昌 上首
◇参加者: 28名
光明園の最寄り駅は西武池袋線の「桜台」です。
その名のように駅の近くの道路沿いは桜並木になっています。木々は既にその最盛期を終え、道路に散った花びらが春風に舞っていました。光明園に着くと午前のお念仏の最中でした。午後も一時間ほどお念仏をしてから河波上首のご法話となりました。
ご法話
お話の前半は過日、NHKのテレビで放映された「日本最大国宝絵巻」・「法然と民衆乱世の祈り」に関してお話しされました。
今年は法然上人の八百回忌を迎えます。今上天皇は新しく「法爾大師」の称号を下賜されました。
NHKのテレビでも昨晩(4月23日)一時間半にも亘って放映されました。
それは法然上人滅後、百年目に天皇の勅によって編集されたいわゆる『勅修御伝』(法然上人のご生涯を四十八巻でまとめてありますので『四十八巻伝』とも称されています。)に基づいて放映されました。なお、この『伝』は知恩院所蔵で国宝となっておりますが、今回八百年忌を記念して、京都国立博物館で公開されていました(5月8日まで)。
なお、このご伝記は上人滅後、百年後に編集されたものですが、それとは別に法然上人に十八年間も随従されていたお弟子の勢観房源智上人を中心として編集されたより確実な伝記『法然上人伝記』(醍醐本)があり、それについての言及もなされました。
それには上人のご臨終のことや、また「悪人正機論」についての言及などもあり、それらは改めてお話すべき内容であります。
『勅修御伝』によると法然上人の誕生から比叡山でのご修行、そして下山後の宗教活動等についても詳しく述べられていました。とりわけ京都大原における「大原談義」等についても興味深い展開がありました。
ただ、河波上首によるとテレビの制約によって法然上人の念仏についての最も肝心な点への論究が不十分であった由です。その点についての言及はNHKでも最初、プランに入っていたそうで、その内容についての河波上首へのインタビューが3月11日に光明園で行われていました。その最中に、あの大地震となり、急遽、中断となったそうです。そのため河波上人の言及がなくなり、論究は不十分なものとなったようでした。
後半はこの不十分な処を河波上人が補填して、法然上人の『選択本願念仏集』に基づいて説明がなされました。
それは念仏が誰にでもできる「易行」であると共に、その念仏に「万徳」が含まれている「勝行」であるからとの説明がなされました。ただ念仏すると救われると言うことは自明の真理ではあるのですが、そこには無限に深い宇宙の真理が働いている旨、述べられました。そしてその解明への根拠として弁栄聖者の「超在一神的汎神論」が述べられました。
それは法然上人の名号の徳としての「三身・四智」等の超在的な内容がなぜ念仏する私たちの心の内容となり、更には救済の内実となってゆくことができるのかについての解明への試みでした。
声に出すこと自体は呪術的行為ですが、そこに仏の不可思議の力が働いているからであるとの説明でした。
茶話会
いつものように2ヵ所に分かれて歓談しました。今回初めて岩崎念唯上人のご長男が参されました。お念仏の時に最前列で若い男性が熱心にお念仏されているので、誰だろうと思っておりました。昼食を頂きながらいろいろお話を伺いました。
とても素直で、それでいてしっかりとした自分の考えをもった好青年でした。東京に在住されているそうで、これからも参加されることを願っています。
26才と言う若さは光明会にとってはまぶしい存在です。未来ある若者がどんどん参加したくなるような場にしていくための工夫が求められています。
谷氏が「浄土門主賞」を受賞
光明園の谷慈義氏が、平成二十三年三月十五日、浄土門伊藤唯眞門主から「浄土門主賞」を授与されました。「浄土門主賞」は、浄土宗門の学校である大正大学、佛教大学等において、毎年一人、成績優秀者に対して、門主から表彰されるもので、褒章として銀の万年筆が授与さました。
谷氏は、大正大学大学院仏教学研究科において研鑽努力され、その優秀な成績は他の模範とするところであるとするものです。谷氏の修士論文は、「善導浄土教における念仏三昧について」であり、400字詰原稿用紙1200枚に及ぶ大作です。大正大学の卒業式が大震災の関係で中止となり、式場での表彰はありませんでしたが、私たちの仲間の表彰は至高の名誉であり、皆様にお知らせするものです。