東京光明会9月例会
植西 武子
9月29日(土)13時~16時 一行寺で。講師は八木季生上人、参加者18名。
8月は例会がお休みでしたので、皆さんとお出会いするのは久しぶりといった感じでした。ほぼ定刻に着きましたが、本堂に入ると既にお念仏が始まっており、それぞれに自ずと決まった指定席で専心念仏されていました。
約1時間のお念仏をして、聖歌「歓喜光」を歌いました。歌いながら歌詞は勿論ですが、このメロディーは宗教的感情を高めるにふさわしいものと思いました。皆さんもお気に入りのようで大きな声で歌っておられました。その後、ご法話を拝聴しました。
ご法話
今月は「弁栄聖者の片影」のNo.126からNo.133まででした。
- 「六字釈」(No.126)
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「南無」とは梵語で、中国語でいえば帰命と訳す。「帰」の字は「とつぐ」という意味がある。「とつぐ」とは「トッツク」の意味で老人が杖にとっつき、処女が良夫にとっつくと言った類である。「阿弥陀仏」は無量寿如来のことである。従って「南無阿弥陀仏」とは無量寿如来へとっつくという意味である。これを聖者は大変むずかしい言葉で「幻影的分限我なる我々が永世的普辺我なる至上者へ嫁ぐことである」と表現されている。
(八木上人は「幻影的分限我」とは「やがて消えて無くなってしまう存在の我」と説明されました。)
聖者は更に詳しく「一人の女性も処女時代には日々の生活であれこれ悩むことがあるが、いったん嫁いで夫なる人を得れば、全ての負担や心労が軽くなる。ましてや天に在す唯一独尊なる大ミオヤぶ背いて恐怖や憂鬱の中で一人流転の生活をしてきたが、大ミオヤの大悲召喚のみ声に夢醒めて自己を弥陀の中に投入すれば、やがて寂光常住の春が来て人生を一層荘厳にすることができるのである。これ即ち、自分が如来にとっつき、如来が我に力づけて下さったからである。と述べられている。 - 「宗教とは」(No.127)
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聖者は「因襲的世界依嘱の心を脱却して、絶対的心霊界の中に帰依安住するのが宗教である」と述べておられる。
(八木上人は「因襲的世界=相対無限の心霊界」と日常話されている表現に置き換えてお話し下さいました。さらに道徳と宗教の違いについて「道徳の規範はあくまで自然界の中でことに終始するが、宗教は心霊界を対象と因襲的世界依嘱とはその前者を意味する」と説明下さいました。) - 「人格本位」(No.132)
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聖者曰く、「極楽が美麗で歓楽な処であると聞いて、ただそれだけで極楽に往きたいと願うのは、恰も財産や地位を目当てに結婚するのと同じである。阿弥陀様がいらっしゃればこそ、たとえ火の中、水の中も厭いませんと願うのが人格本位であり、高等なるものである。」
- 「仏に対する貞操」(No.133)
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聖者は「信仰においても貞操が大切である」と言って、次の実例を示された。
聖者のある知人のご家庭は代々熱心な念仏信者で、その息女もよく念仏されていた。しかし、月にむら雲は世の習い、その十八、九の息女が病魔に襲われ、家人が一心に全快を願ったが遂に風前の灯し火となった。その時、主人の碁の友達という日蓮宗の僧侶が気の毒に思って題目の効果と日蓮宗のすばらしさを強調して信仰を変えるように勧めた。主人はむげに断るわけにいかず、遂に僧侶に娘を見舞わせて説得を依頼した。僧は娘に、法華経は非常に優れた教えを説いていて病気や災難も速やかに退散させることができると転宗を勧めた。黙って聞いていた娘はまず親切に対し礼を述べて、一つ質問をした。「貴師は毎日お葬いのあるお忙しい身とか、お檀家さんでも亡くなられますか」さらに「貴僧のような方でもやがてはお亡くなりになりますか」と訊ねた。僧は「たとえ高徳の僧であっても、誰もこればかりは逆らうわけにはいきません」と答えた。娘は「それを聞いて私も安心して念仏をしていきます。生者必滅は娑婆の習い、助からない命なら念仏と共に死んでいきます。これが何よりの願いです」僧はそのやつれた顔に一抹の快意をみて退席した。その後、不思議と娘は快方に向かった。この事について聖者は「これは大ミオヤに対する吾人の貞操である」と言われた。
(今月は2、3難解な項目がありました。漢文が含まれていたり、内容的にかなり高次なところがあって、後日の課題としたいと思いました。)
茶話会
今月は殆どの方が出席されていて、しかも2ヶ月ぶりの方もあり懐かしくご挨拶を交わしました。ここ2、3ヶ月お会いしていなかった河村さんがご子息と参加されており、お元気な様子で安心しました。100歳というお年にも拘わらず自分の足で遠路国分寺市からのお通いで、感心するばかりです。また、唐沢山に初讃歌された抜井美幸さんが埼玉から参加されていました。とても嬉しく思いました。若い人が1人でも多く加わって下さると会に活気が生じます。これからも続けて参加下さることを念じています。
今年は唐沢山別時のお導師が八木上人でしたので、東京光明会から多くの方が参加して下さいました。個々のお礼を言って、その思い出を話し合いました。
外に出ますと爽やかな風が流れていました。
光明園9月例会
9月14日~16日の大巖寺別時に合流しました。詳細は12月号に掲載します。