光明の生活を伝えつなごう

関東支部だより

関東支部 平成28年4月

一行三昧の会

佐藤 蓮洋

◇日 時:2月7日(日)
◇会 場:光明園
◇法 話:河波定昌上首
◇参加者:13名

二月の寒風の中、快晴の青空を背景に紅梅の花が咲き匂い、そして水仙も可憐な花を楽しませてくれていました。

維那は炭屋師、大木魚は岩崎氏、オルガンは岩下氏が担当され、お念仏、礼拝儀、聖歌を唱いました。午後には河波上首のご法話をいただき、その後、お念仏を称えました。

〈ご法話〉

私はヨーロッパの修道院を訪問し、修道院の中で生活をしたことがありますが、その経験の中で、ヨーロッパとは何かが分かってきました。修道院では「祈り」「労働」「読書」が中心であり、精神の核が作られていったのです。それに修道士には徴兵がなかったので、修道院で培われた文化がそのまま継承されていったのです。

キリスト教における深い祈りの中で、多くの方が神秘体験をされており、法然上人と同時代の中世ドイツでは、ベネディクト会系の女子修道院長であったヒルデガルト・フォン・ビンゲンという方が有名です。彼女の著書では、この神秘体験を幻視(visio)体験とされていますが、本当にいろいろな神秘体験が残されています。法然上人も『三昧発得記』の中で、お浄土の荘厳などを語られていますが、お念仏の深い祈りの中で、神秘体験をされていたわけです。このように如来様のはたらきが私たちの中に現れてきて、いろいろな体験するのです。

金子みすずさんは詩の中で「見えないけれどもあるんだよ」と詠われていますが、見えない世界が、日常生活の中に現れてくる。感覚の中に感覚以上のものがはたらいて、「あら?」というような新しい感覚に出会い、日常の感覚に変化がおきる。これが感応道交です。成所作智という如来様の四つの智慧の中の一つです。ですから、浄土と娑婆は分断されて、お互いに交流のない二世界なのではなく、「去此不遠」、つまりお浄土は今ここにあり、ここにお浄土が満ち満ちている、という二重世界なのです。

無心にお念仏をすることで、私たち一人ひとりの中に新しい霊的感覚が芽生え、また新しい心の展開をもたらすことになるのです。

念仏と法話

山本 サチ子

◇日 時:2月21日(日)
◇会 場:光明園
◇法 話:河波定昌上首
◇参加者:35名

光明園の役員をされていた谷慈義さんが昨年の12月に逝去されました。それに因み本日は谷さんのご回向と法話がなされました。河波上首は、仏教塾の同期生や会員の皆様に本日の参加のお礼を述べ法話をされました。

〈ご法話の概要〉

ピタゴラス(ギリシャの哲学者・数学者・宗教家)は人間には前世があったと言いました。数学者であり元、奈良女子大学教授の岡潔先生、そして自然科学で遺伝学を研究されていた久保利夫先生はやはりこのことを強調されています。久保利夫先生は前世を考えないと遺伝学の説明ができないとも言われています。

ところで谷慈義さんは菩薩に目覚めた方です。(我建超世願 必至無上道)無上心に目覚めた人それを菩薩といいます。谷さんは阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼだい)の菩提心を発して極楽に往生されたのだと思います。

普賢行願はあらゆる菩薩の究極的な願いともいえ、すべての菩薩の願はこの願に帰入していきます。「普賢行願讃」は四十巻本の『華厳経』の巻末(結論的部分)に述べられています。菩薩の修行は回向発願であり十の願があります。紀元前一世紀前半頃から如来様に交わっていくときにどのように交わっていくかが出てきます。

谷さんはこのたび弁栄聖者の『宗祖の皮髄』と「十二光仏」の現代語訳の出版を発願されていました。会計士、コンサルタントの傍ら、壇林龍澤山大巌寺(千葉)並びに光明園(東京)にて念仏修行を続けられました。

〈念仏の重要性〉

無量寿経の下巻の中に「独生独死独去独来」ということばがあります。豊臣秀吉は天下を取りました。しかし辞世の句とされる「露と落ち露と消えにし我が身かな浪波の事は夢のまた夢」と詠みました。死んだらそれっきりと思っている人ほどあわてていきます。名誉も地位も何の役にもたちません。生きているうちも其の後も如来様の手の中にありますようにと阿弥陀様におすがりすればよいのです。臨終念仏の時に阿弥陀様がいてくださることは有り難いことです。この世は無論、後の世にも繋がって永遠に、阿弥陀様はそばにおいでです。まさに此世及後生(しせぎゅうごしょう)であります。生とか死を超えてお念仏をするということは菩薩として生きていくことです。死んだ後にまします如来様が今もまします。念仏をしていると私たちの中に命の変革が興ってきます。最終的な菩提心はお浄土で、現世から行われている往生の営みというものは、現世から未来を通じての菩薩道の完成ということに連なっております。

死んだら終わりでなく永遠の人間の形成(菩薩道の完成)と言えるのではないかと思います。人生の最大に大事なことそれはみな菩薩になることです。菩提心を発して無上道にいたることです。この菩提心とは、たとえば私たちは空気を意識しません。それと同じくいつも如来様の手の中にいることに気が付かないのです。空気と一つになって阿弥陀様の光明があることに気付かないのです。そのことに気が付き目覚めることが一番大事なことであります。どうか皆様、念仏をいたしましょう…と締められました。

〈ご回向〉

谷慈義様のご回向が執り行われました。本日は、谷慈義様の奥様も参加して頂き皆様と共に回向しました。至心に回向す。谷慈義様のお元気だった頃のお姿を思い浮かべて一同心よりご回向いたしました。

南無阿弥陀仏

〈茶話会〉

谷慈義様の奥様ともたくさんお話ができ、改めて故人の供養ができたと思います。お蔭様で本日はとてもすばらしい会を催すことができました。河波先生そして会を主催し参加して下さいました皆様、本当にありがとうございました。

合掌

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