光明の生活を伝えつなごう

光明主義と今を生きる女性

光明主義と今を生きる女性 No.62 聖者ゆかりの地を訪ねて─布鎌教会堂での念仏会─

植西 武子

桜花爛漫の好機も終わり、新緑の兆し感じられる4月24日、関東支部「女性の会」(通称「女子会」)のメンバー9名は布鎌教会堂(千葉県印旛郡)を訪ねました。

去る3月13日、「女性の会」の例会で本年度の活動等を話しあう中で話題になり、急遽訪問したいと言う声が上がり、早速実行となりました。

各自の都合の良い日を調整し、9名(佐藤、森井、田代、山本、鎌尾、佐々木、岩崎、芥川と植西)が参加することになりました。佐藤蓮洋尼と田代悦子さんと私以外は初めての訪問でした。他にも参加希望の方がおられましたが、交通手段を電車としたため、体力的に無理と断念された方には申し訳なかったと思います。

布鎌教会堂はJR成田線の小林駅が最寄りです。日暮里駅で全員が集合し常磐線我孫子より、成田線で南下すること約30分です。

通勤時間帯を少しずらしたため、全員が向き合う形で纏まって座ることが出来ました。嘗ての少女達は遠足気分でおしゃべりに没頭しました。成田線に入るや車窓の景色はのどかな田園風景に一変し、その美しさを愛でながら心の中で如来様を憶念し、お念仏会へのウオーミング・アップとしました。

真新しく改装された小林駅に降り立つと赤荻孝明氏が私達を迎えて下さいました。赤荻氏の車で2往復と1台のタクシーで私達は目的地に着きました。

私にとっては3度目の訪問ですが、あの懐かしい佇まいはそのままで、改装された立派な屋根が一段とその風格を醸し出しているように思われました。

赤荻氏から「90回忌の時に関東支部から頂いた補助金がその一部となり、お陰で雨漏りが無くなりました。」と感謝の言葉を頂きました。ささやかながらお役に立てたことがとても嬉しく思われました。

庭一面をピンクに染めた芝桜がこの世の春を謳歌して私達を迎えてくれました。「何と美しい。」と息を飲むばかりでした。

案内されて中に入りますと、赤荻さんの義理の妹に当たる赤荻あや子さんが既に茶菓や果物の準備をして、待っていて下さいました。毎回のご接待に心より感謝致しました。

早速、各自持参のお弁当で早めの昼食を済ませ、法衣に着替えた森井明攝尼を導師として正午より約1時間半、礼拝儀を拝読し、続いてお念仏をしました。 赤荻さんも、あや子さんもご一緒に参加下さいました。

全員が一心にお念仏しました。その木魚の響きから皆さんの熱い思いが伝わってきました。壁に、天井に聖者のお声のしみこんだこの伝統ある道場でお念仏できる幸せを噛みしめながら……

その後、岩下玲子さんの伴奏で聖歌「法の糸」を歌いました。30年ほど閉じられたままのオルガンでしたが、やさしい音を奏でてくれました。

お念仏の後、赤荻さんからいろいろとお話を伺いました。

まず、この教会堂の歴史から……

当時はこの辺りは茅が一面に生い茂る原野だったそうです。そこを赤荻さんの父である弁明氏が中心となって、近所の人々も加わって、鎌で一株一株刈り取って切り開いていかれました。かなり広い敷地ですので、当時のみなさんのご苦労が充分に感じられました。

そして、ある古民家を譲り受け、移築されたのでした。風雪に耐えて一世紀以上、その柱、天井がそれを充分に物語っています。

教会堂建立の費用の全ては聖者の伝道による尊いお布施でまかなわれたそうです。

当時の聖者と地元の人々

聖者は月に何回かこの道場でお説教をされました。当時の地元の人々は今ほど教育を受けておらず、難しいお話よりも、病気の悩みで相談に来る人が多かったそうです。聖者がお念仏を授けられると、不思議と治癒したそうでした。

また、青年たちには十二光佛のお話や、時には質疑にも応じられました。
特に印象的なことは赤荻弁明氏が記されている、雪の日の聖者のお姿です。大正8年2月半ばの早朝に、伝道から五香の善光寺に戻って来られた聖者は降りしきる雪の中をお一人で毛布をかぶり、白足袋姿で積雪した悪路を1里半(6㎞弱)歩いて来られたそうです。現在の私達の日常を顧みると申し訳なく、ひれ伏し、落涙する思いです。

一信者へ送られた葉書の束

赤荻氏は私達のために聖者の遺墨の数点を部屋に展示し、また、近くに住む一信者の方から葉書の束を借りてきて見せて下さいました。

それは聖者から鳩谷紋藏氏に宛てられた何枚もの分厚い葉書の束でした。鳩谷氏も聖者に深く帰依し、この地域で中心的に活動された方でした。

順番に一枚一枚回し読みしました。それは季節の挨拶であったり、伝道先からの近況報告であったり、問い合わせへの返答であったり、依頼であったりと様々です。

これらの葉書から聖者が如何に細やかに一信者に関わり、導かんとされていたか、お忙しい中を寸暇を惜しんで筆をとり、一人一人にきめ細かく対応されるお姿に深く感じ入りました。「この姿勢こそ人を導く上で大切なんだ。」と深く教えられました。

今回の訪問は大変有意義なものでした。帰路に就く皆さんの表情がそれを如実に物語っていました。

翌日に特に初めて参加された方に感想をお聞きしました。皆さん共通して、

  1. 聖者の遺墨の数々に直接に触れて、聖者のお心が強く伝わってきた。
  2. 建物にしみこんでいる聖者のお心、当時の信者の方々の祈りが伝わってきて、「触れる」、「体験する」ことの大切さがわかった。
  3. 一般の人々によって脈々と引き継がれてきた伝統の重みに何より感動した。

等々でした。

お世話下さった赤荻孝明さん、義妹の赤荻あや子さんに参加者全員心から感謝致しました。特にあや子さんは毎朝4時に起床して庭の草引き、建物の清掃、管理をして下さっているそうです。その陰徳に対して合掌し、聖者のご加護を衷心より祈りました。

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