光明の生活を伝えつなごう

発熱の文

発熱の文 61 光明家庭の心得


光明家庭の意得
一、父母は慈悲と正義の観音勢至にて、実行の範を以て子女を光明に指導すべき事。
一、各自は闇黒の気質を淘汰し、光明の本心に基き平和たるべき事。
一、忿恨等を発し、衝突を為すは、光明を失う故なりと覚知すべき事。
一、光明に充されては、いか成場合にも麗しき色を変えざる事。
一、光明の時間を貴重し、徒らに過すべからざる事。
一、日々の業務は、如来の命令と信じ、潔よくつとむべき事。
一、如来の試検は、日常行為の上にある事を記憶すべき事。
 晨には、今日一日は如来に身心を献げて事えまつることを告白し、夕には、一日いかに行為せしやを吟味し、益向上せんことを要す。闇黒の家に犯罪の卵子は発生し、光明ある家庭に善良の士女育成す。
 『聖典』に「悪人は悪を為し、冥より冥に入り、苦より苦に入る。善人は善を為し、明より明に入り、楽より楽に入る」と示し玉えり。


現代語訳

光明家庭の心得
一、父母は〔子供達にとって〕慈悲と正義の観音菩薩・勢至菩薩〔のような存在〕であり、実行の模範となって、子供達を光明〔の生活〕へと指導していきましょう。
一、各自、闇黒の気質〔である煩悩〕を取り除き、光明の本心〔である霊性〕に基づき、平和に過ごしましょう。
一、怒りや恨みなどの心を起こし、〔他者と〕衝突をすることは、光明を失っているからであると心得ましょう。
一、光明に充たされた〔心境に至っている〕のであれば、どのようなときも、麗しい表情のまま、生活ができるようにしましょう。
一、光明の時間を大切にし、徒らに過ごすべきではありません。
一、日々の仕事や学業は、如来様の命令と信じ、潔く勤めていきましょう。
一、如来様からの試検は日常行為の上にある事を心に留めておきましょう。
 朝は、今日一日、如来様に身心を献げてお仕えすることを告白し、夕は、一日どのように行動したのかを吟味し、ますます向上していくことが〔光明の生活を実践する上において〕重要なのです。闇黒の家に犯罪の卵は発生し、光明ある家庭に善良な子供達が育成していくのです。
 『無量寿経』に「悪人は悪い行いをし、暗い〔生活よりさらに〕暗い〔生活〕に入っていき、苦しみ〔の生活よりさらに〕苦しみ〔の闇黒生活〕に入っていきます。善人は善い行いをし、明るい〔生活よりさらに〕明るい〔生活に〕入り、楽しみの〔生活よりさらに〕楽しみ〔の光明生活に〕入る」とお示し下さっています。

解説

行者(この文を拝読する者)の信仰の発熱を促す経典や念仏者のご法語をここで紹介していきます。

出典

『ひかり』七一〇号十~十一頁、『御慈悲のたより』上巻「二三五」、『御慈悲のたより』中巻「九〇」。お便りではなく、福岡県遠賀町浅木西光寺檀家有吉家に書き与えた心得書である。

掲載

機関誌ひかり第762号
編集室より
行者(この文を拝読する者)の発熱を促す経典や念仏者の法語をここで紹介していきます。日々、お念仏をお唱えする際に拝読し、信仰の熱を高めて頂けたらと存じます。
現代語訳の凡例
文体は「です、ます」調に統一し、〔 〕を用いて編者が文字を補いました。直訳ではなくなるべく平易な文になるように心懸けました。
付記
タイトルの「発熱」は、次の善導大師の行状にも由来しています。「善導、堂に入りて則ち合掌胡跪し一心に念仏す。力竭きるに非ざれば休まず。乃ち寒冷に至るも亦た須くして汗を流す。この相状を以って至誠を表す。」
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