光明の生活を伝えつなごう

発熱の文

発熱の文 68 光明の反映


 信仰の要、天体に太陽在りて、其発するエネルギーによらざれば、地上の万物は生存できぬと同じく、心霊界に無量光仏の霊光によらざれば霊性は生活できぬ。
 天に太陽は、光放ちつつあるも、瓦や礫には反映せぬ。霊界の日輪は照らしあれども、心霊によらざれば反写せぬ。如来の日輪光は、衆生信仰の金剛石に反映す。みだの日光は、善導・法然の心的金剛石に映じて地上に輝く。ひとり善導・法然のみならんや。人に霊性具す。念仏三昧を修して金剛石の光いづる時は必ず反映せん。此反映のみ、衆生を闇黒より救い出すの光明なり。


現代語訳

 信仰において肝要なこと〔をお伝えします。物質界の〕天体には、太陽があり、その発するエネルギーに頼らなければ、地上の万物は生存できないように、心霊界においても、無量の光を〔放つ阿弥陀〕仏の霊的な光明に頼らなければ、〔人の心の中にある〕霊性を〔発揮した〕生活をすることはできません。
 天の太陽は、光を放っていたとしても、*瓦や礫には〔その光を〕反映することはできません。心霊界の太陽である〔阿弥陀仏〕は〔すべての世界を〕照らして下さっていますが、〔衆生の〕心の中に霊性がもし具わっていなかったならば、〔その輝きを〕反映することはできません。阿弥陀仏の光明は、衆生の信仰の*金剛石に反映するのです。阿弥陀仏の光明は、善導大師や法然上人の心中の金剛石に反映して、この地上(物質界)において輝きを放ちました。ただそれは、善導大師、法然上人〔のような尊い聖者において〕のみのことなのでしょうか。〔いいえ、そんなことはありません〕。人は〔必ず〕霊性を具えています。〔南無阿弥陀仏と一心不乱にお称えする〕念仏三昧を修行し、その金剛石が〔磨かれ、〕光が発せられるとき、必ず反映〔し輝きを発〕するのです。この反映〔による光明の導き〕のみが、〔周囲に影響を及ぼし〕衆生を闇黒より救い出す光明となるのです。

解説

信仰の熱を起こす弁栄上人の御法語と現代語訳を掲載していきます。

出典

『たより中』「四一」、宛先不明

掲載

機関誌ひかり第769号
編集室より
行者(この文を拝読する者)の発熱を促す経典や念仏者の法語をここで紹介していきます。日々、お念仏をお唱えする際に拝読し、信仰の熱を高めて頂けたらと存じます。
現代語訳の凡例
文体は「です、ます」調に統一し、〔 〕を用いて編者が文字を補いました。直訳ではなくなるべく平易な文になるように心懸けました。
付記
タイトルの「発熱」は、次の善導大師の行状にも由来しています。「善導、堂に入りて則ち合掌胡跪し一心に念仏す。力竭きるに非ざれば休まず。乃ち寒冷に至るも亦た須くして汗を流す。この相状を以って至誠を表す。」
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