山本 サチ子
漸く冬らしい季節の到来です。ここ埼玉ではあまり秋景色が感じられなく、今年の紅葉は諦めていました。けれども先月、京都で清水寺を訪れた際にその思いは覆されました。清水寺から眺める京都の街並みと周囲の秋景色は言葉にならないほど美しかった。
昔、修学旅行で見た清水の舞台は「懸造」と呼ばれる工法で建てられたというがその景色は今改めて見てその荘厳さに驚かされる。修学旅行では大急ぎで通り過ぎ、その素晴らしさは分からなかった。引率したクラス担任は、京都は歴史を勉強して社会人になった時にまた訪れて欲しい。…と話されたその言葉を私は今とても懐かしく重みのある言葉だと感じている。
ゆっくりと見学する予定であった自己の気持ちとは裏腹に時間は刻々と進んでいく。さあ、明日はどこを訪れようかと名所めぐりに心は踊る…。
腕時計とにらめっこをしながら気持ちの高ぶりを覚える…。京都の紅葉と街並みは、古を偲ぶことができる別格の美しさがあった。
〈腕時計とスマホ〉
これまで人生の節目で腕時計を知人や子供からプレゼントで頂いてきた。どれもみな思い出の濃いものばかりだ。出掛ける場所によりそれぞれのデザインのものを付けお出掛けをすることを楽しんでいた。けれど気が付けばスマホを持ち歩くようになり、それまであんなにお気に入りであった腕時計を付けなくなっていた。スマホで正確な時間をみることができるからだ。けれども最近になってバッグからスマホを取り出しスマホを開いて見るには時間がかかることが気になりだしたのです。
腕時計はスマホを探したり取り出すことなくすぐに時間が判る便利さがある。私は自分の身勝手さに少し苦笑する。スマホの便利さは認めるものの、改めて腕時計の利点に気が付いたのです。確かにスマホは便利ではあるが、このところ私はスマホの便利さに飲み込まれすぎていました。それはこれまで知人にはいつも「手紙やはがき」を書いていました。スマホを使用するようになってからは殆どラインのメールで済ませるようになり、気が付けば簡単な漢字も書けなくなっていた。
手紙を受け取ることのワクワク感からも遠ざかっていたのです。ラインや「SÑS」でのメールも良いのですが何故か手紙を頂き開封するときの喜びがないのです。手紙にも利点だけではなく、税金の知らせや嫌な売り付けの情報だって沢山ある。けれども昔ながらの手紙を受け取る瞬間の喜びはスマホではやはり手紙に勝てない。
あんなに知人に手紙やはがきをマメに書いていた自分はいったいどこにいってしまったのか? 手紙を書くことは文房具店で便箋を買うところからワクワク感が始まっていました。手紙を書く相手が子供や大人であったり、あるいは季節に合わせた便箋や封筒を選んでいた。自分の気持ちの中では、文明の武器(スマホ)より昔ながらの手紙の方が勝るのではないかとさえ思います。手紙からは言い知れぬこころが伝わってきます。
〈時計店〉
先日、自宅近くの時計店へ行きました。川越市内の駅前近くの小さな時計店です。時計店は新しく建て直されていて自宅に続いたお店になっています。小さいながらも店内は奇麗ですっきりした感があります。私は二つの腕時計の電池交換をお願いしました。店主は若くはないが、それほどの年齢には見えません。店主は早速、片方の腕時計の電池交換を終え、もう一つの時計をみて…
「これはG-SHOCK(Gショック)だね。申し訳ないが私は年寄りで、Gショックの交換ができない。昔の古い修行をしてきたのでね…。お客さん、スマホ持ってるようだから申し訳ないがGショックの交換、とスマホで打ち込んで検索してください」…と言います。
少し驚きましたが、言われた通りスマホを操作すると絵入りでGショックの電池交換画面が出て来ました。私がそれをゆっくり反復しながら読み上げ何とか交換することが出来ました。店主の方は自分のスマホをポケットから取り出して「僕はスマホの使い方がわからないから駄目だねえ」…と言います。
私が「じゃあ、お孫さんに教えて頂いたら良いのでは」と言ったら「孫は面倒くさがって教えてくれないのよ。それに教わってもすぐに忘れちゃう」と言います。
「では、その場ですぐにメモを取り、何度でも聴けばいいのでは。それでもわからない時はスマホを購入したショップに出向き教えて頂けば良いのでは?」。こんな会話のやり取りが続いたあとに 「僕は91歳だから覚えが悪くてね」と言った。70歳位にしか見えず、テキパキしているのです。
店主の話は続きます。「先だって二人組の強盗が入り高級指輪や腕時計を盗られた」との話には驚いた。「店を閉店しようかなと考えたが家内が続けた方が良いというし、頑張ってみることにしたよ。警察も話は聞くが犯人を検挙出来ないのだからなぁ…」その話を聞いて私は荒んだ世の中に失望するばかりでした。料金もおまけして頂き恐縮している私に「お客さんありがとう。お礼とはなんだがメダカを持って行かないかい?」と言われ、受け入れの準備が出来てないので「また機会がありましたら」と言って店を後にした。
〈結び〉
近頃ハッピーなニュースが少ない。暗い話題が多過ぎる。だがいつまでもこの世の中を嘆いていても何も始まらない。そんな時に「山崎弁栄上人」のことをいつも考える。私達が取り組むべき課題はあまりにも多い。弁栄上人が熱く敬っておられた「善導大師様」のお言葉「自信教人信」への道へ向かって少しでも努力することではないのかな?と考えます。時間はかかっても強い信念を持ち実行に取り組むことが重要であると思われます。一番悪いことは「誰かがやれば良い」と思うこと。特に、「婦人部、子供、青年部の育成、そして広報活動の工夫と強化」と課題は山積み。これは他の会員の方も強く要望しています。
今、世界中に日本のアニメがユーチューブ(ネット動画)ですごい勢いで広まっている。ネット社会を利用するなどしてユーチューブで光明主義(山崎弁栄上人)の教えを今よりもっと広めていくことも方法です。ユーチューブに強い方にお願いしたいです。世界に向けてもっと発信して欲しいのです。ヨーロッパで山崎弁栄上人の教義がユーチューブを通して静かに広まっていることをロシア出身の方から聴き嬉しく思いました。
今、世の中の人は求めているのです。ユーチューブで参入して実行していくその在り方が良いと考えています。地道かも知れないけれども今よりもっと世界に発信していくことが光明主義の発展に繋がるはずです。内部組織と外部に向けた呼びかけの強化活動を進めていくことが光明主義発展に繋がっていく道になるのではないでしょうか。
合掌