光明の生活を伝えつなごう

光明主義と今を生きる女性

光明主義と今を生きる女性 No.44 母への感謝

森井 明攝

カッチ と割笏の音。ザワザワと微かな物音がする。水の音、話し声、今から集まり本堂に入るのです。今日から別時が始まるのです。そして10歳頃の私の別時の思い出のスタートでもあります。

まだ小さい私は、本堂に入ることもなく、食事の手伝いです。学校に行かず、お別時の手伝いが出来、そしておばさん達が、話しかけてくれるなどとても楽しいです。私は、お客さんが来るのが大好きでおばさん達と良く話などしていました。

別時も3泊4日だったり、一週間だったりです。お客様も20人位です。

お客様も当日にならないとはっきりした人数が分かりませんが、食事については、母が担当でした。野菜・果物・調味料など買い出しに行ったり、布団、お風呂の掃除など忙しく動いてました。最初の準備は、布団の用意です。人数分の敷布・掛布団・毛布・枕・シーツ・枕カバー・布団干し、それが終わるとお風呂の掃除これがまた大変!! その上トイレです。やっと終わったかと思ったら、次、次と仕事がやってくる。あ~疲れた。黙って部屋で横になる。何分かして「せっちゃん~」と呼ばれる。どうして私が呼ばれなくてはいけないの? 知らん顔してたらまた「せっちゃん~!!」と呼ぶ声が聞こえる。「あ~あ~!! もお~」と仕方なく声のするほうに行く。今度は何をするの? テーブル・お茶碗、お皿、湯呑みを人数分揃える。終わったらすぐ部屋に行く。また「せっちゃん!!」と呼ぶ声。今度は、明日の昼食のしたごしらえだ。今回の導師は、自然食しか食べられないので、ご飯は玄米ご飯、当然肉はダメ おかずは精進料理そのものです。玄米ご飯にはゴマふりかけが合う。ちょっと口に入れてみる。本当においしい!! 料理の手伝いは味見が出来ので最高 早速、ゴマを炒り、すり鉢でごまを磨る。それがまた大変!! 少し塩を入れながら一生懸命すりこぎを磨る。横で母が独り言を言ってる「高野豆腐はどう料理すれば美味しくまた見た目に良く見えるかしら?」あーでもない・こうでもないと一人で言ってる。「こんにゃくは、一回茹でたら歯ごたえがいい ごぼうは今回は短冊が見た目がいい 白和えは今日は寒そうだからまた別の日がいいね?」分からない私に相談する。母はどうすれば皆さんにわずかな時間にリラックスして頂き、見た目に食欲の湧く料理を差し上げたいと思い色々試案していたのでしょう。その時、私には分かりませんでしたが、後になり分かったことです。一週間の別時も終わり頃になるとまた何か考えてます。「最後の日には、お疲れ様で、美味しいものを召し上がってもらいたい」食卓に出たのは、お芋の茶巾しぼりで頭の上には干しブドウをのせて やっと一週間の食事もこれで終わりです。別時の間ほとんど一人で準備をしてくれた母。裏方の力があってこそ満足でき心よく終えることができたのです。別時は私の料理の修行の場でもありました。料理を教えてくれた母に今感謝しています。

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